「核武装容認」の国会議員に撤回を要請 日本被団協中央行動
「党内で議論」「本人に注意」を約束
日本被団協は2003年12月4日、120人が参加して政府、政党、国会への中央行動をおこないました。これには、東友会から69人が参加し全国行動を支えました。
中央行動の重点は、毎日新聞がおこなったアンケートに、新衆議院議員のうち83人もが、「日本の核武装を検討すべきだ」と答えていることを重視し、この議員たちに、見解の撤回と被爆体験を聞いてほしいと訴えることでした。
83議員の党派別内訳は、自民に64人、民主17人、公明1人、無所属1人でした。
民主党は、高木義明、柳田稔、山本孝史の3議員への要請に「こんなにたくさん核武装論者がいるとは知らなかった。党内で論議する」と答えました。
公明党の斉藤鉄夫議員は、「本人に十分注意する」と答えました。
東京選出議員では、5人が核武装・改憲検討と答えています。その1人、民主党の中山義活議員室では、「アンケートは秘書の私が書いた」と答えました。
「核武装容認」議員への要請書の趣旨
毎日新聞2003年11月11日付によると、新衆議院議員の83人が「核武装を検討すべきだ」とアンケートに答えたと報じられ、私たち被爆者は愕然としています。
日本が核武装を検討することは、核戦争の危機を助長し、北朝鮮ばかりでなくアジア諸国に脅威を与えることは疑いありません。
核兵器は「自衛」の兵器ではなく、人類をほろぼす「悪魔の兵器」です。
広島、長崎の被害がどんなに甚大かつ深刻であるかが知られていないからだと思わざるをえません。
次の要望をします。
- 核武装の見解を撤回してください。
- 被爆者から体験と願いを聞く機会をつくってください。
- 被爆者施策の充実と国家補償の実現に努力してください。
- 北東アジア地域非核化の実現にご尽力ください。
在外被爆者への医療費助成を検討 厚生労働、外務両省に要請
政府要請は、厚生労働省と外務省におこないました。
厚生労働省では、日本被団協の岩佐幹三事務局次長ら11人の要請に、岡山課長補佐らが対応、別項のような前進的な回答がありました。
外務省では、小西悟事務局次長ら5人の要請団に、軍縮局の長岡首席事務官が対応しました。要請項目のほかに、外務省内での「原爆と人間展」の開催を要請しました。
厚生労働省の回答
2003年12月4日の交渉で、厚生労働省が答えた主な回答は次の通りです。
- 原爆死没者への補償は、現行援護法審議でとりあげられなかったので、厚生労働省としてはできない。
- 健康管理手当の更新手続きは、固定疾患については廃止したが、治る病気については全廃することはむずかしい。
- 在外被爆者が現に居住する国で医療を受けた場合、医療費が助成できるようにしたい。手帳を持っていなくても、被爆者であることが確認できればよい。2004年度から実施したい。
- 原爆症認定の審査方針の原因確率は、最新の科学的知見なので変えない。
- 被爆者実態調査については、これまでも国勢調査にあわせてやってきた経過があるし、被爆60年が最後の調査になるかもしれないから検討したい。
- 2世対策については、平成17年度に、放影研がいまやっている2世調査の結果がまとまるので、それを見てから検討する。
- 被爆者健康手帳の死亡時の返還については、都道府県がやることなので一概にいえないが、「無効」の印を押せば、記念に持っていてもいいのではないか。
- 長崎の被爆地拡大で実施されている医療費助成は、現に住んでいる人にだけ。
- 「原爆被害白書」については今はできない。