被爆者相談所および法人事務所
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あずま数男かずお原爆裁判 「放射線量高いほど肝炎発症」と注目証言

 2003年4月14日のあずま原爆裁判第19回口頭弁論は、被爆者と被爆二世、支援者など102人が傍聴。原告のあずま数男かずおさんは、「途中で気分が悪くなったので」と奥さんに支えられながら、30分ほど遅れて法廷に到着しました。
 証人は、広島の放射線影響研究所(放影研)の藤原佐枝子・臨床研究部副部長(医師)。原爆症認定の審査を担当している厚生労働省の被爆者医療分科会の委員でもある藤原証人への尋問は、放影研の報告書に掲載された被爆と肝機能障害に関する二つの論文についてでした。
 ひとつは、原爆被爆とC型肝炎ウイルスの感染に関して被爆者6121人を調査したもの。結論は、「放射線被曝はC型肝炎感染に関連した慢性肝疾患の進行を促進するかもしれない」となっていました。もうひとつは、「C型肝炎ウイルス抗体陽性者において被爆によって慢性肝炎に進行しやすい可能性は示唆されたが、統計学的には有意な関係があるという証拠はなかった」と記された論文。法廷では専門的な医学用語と統計学の用語が飛び交う尋問が2時間続きました。

並べられた机に着席し話を聞く参加者たち。
あずま原爆裁判第19回口頭弁論の後、弁護士会館でひらかれた報告会

被爆実態でなく、統計で審査

 藤原証人の証言から明らかになったのは、次の4点。

  1. DS86が使われてからは、残留放射線をまったく考慮しないDS86で被爆者を区分けし、非被爆者との比較ではなく、被爆者の中で病気の発生を比べて、審査の基準にしていること。
  2. 放影研の資料でも、被曝線量が高いほど、慢性肝炎やC型肝炎の発症が多いこと。
  3. 放影研がC型慢性肝炎の発症と原爆被爆の因果関係についての研究を今も続けていること。
  4. 放影研の研究者である証人が、被爆が原因でその人の免疫が変わりC型肝炎にかかったという可能性を否定できないこと。

 尋問を担当した東弁護団の内藤雅義・宮原哲郎弁護士は、これらの内容から、国が被爆者の実態ではなく、統計学的な数字で原爆症認定審査をすすめている不当性が明らかになった、と口頭弁論後の報告会で話しました。

署名4千提出 累計7万4千に

 この日「原爆裁判の勝利をめざす東京の会」はあらたに4000人分の署名を提出。署名の累計は7万4409人分になりました。