被爆者相談所および法人事務所
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東友会総会 「被爆の実相を人類の記憶に」

「核」に危機感 「原爆症認定」討論

 東友会は2002年5月26日、第45回総会を東友会の会館ホールで開きました。出席者は104人、委任状を含めると142人で、これまで最高の参加者となりました。
 総会には、日本被団協と全国の被団協、支援団体など18団体の祝電とメッセージが紹介されました。
 活動報告案は山本英典事務局長、決算報告は飯田マリ子副会長(会計兼任)、活動方針案は田川時彦会長、予算案は飯田副会長がそれぞれ提案。方針との関連で、原爆症認定の集団訴訟について、村田未知子相談員が「特別報告」をしました。
 活動報告と方針案での討論では、医療改革への不安と怒り、「被団協」新聞経理への質問、原爆症認定制度への批判、相談員への感謝などの発言があり、遺族対策の強化、被爆者健康手帳の未取得者の発掘、地区財政の強化についての意見などが交わされました。提案と決議はいずれも拍手で採択されました。
 役員については、2002年は改選はありませんので、全役員が再任となりました。

「長期展望」「医療福祉」で特別委員会 相談件数1万3千件が示す信頼と期待

 2002年の活動方針は、「新たな核戦争の危機を迎え、被爆の実相を国の内外にひろげ、核兵器のない世界実現のために、死者への責任と使命を果たそう。支え励ましあい、生きがいと誇りのもてる人生を全うしよう」とよびかけています。
 2001年9月の同時多発テロ事件以来、戦争とテロが各地で起き、最近は核戦争さえ危惧されています。これまで一貫して、「地球のどこにも被爆者をつくるな」と叫び続けてきた被爆者としては、じっとしてはいられない思いです。こういうときだからこそまず、「被爆の実相を国の内外にひろめ、人類の記憶の刻み込む」ことに力を尽くすことにしています。
 2002年は、原爆症認定を求める集団申請、集団訴訟運動が焦点になってきます。東友会は、相談活動をいっそう強め、原爆症認定対象者を発掘し、健康と人生を狂わせた国の責任を、裁判の場で追及します。
 東友会には6つの専門部がありますが、新たに「長期活動展望特別委員会」「被爆の実相普及委員会」「医療福祉特別委員会」をつくって、きめ細かな活動をおこなうことも決めました。
 2001年度の活動報告では、相談件数が1万3000件を超え、東友会への信頼と期待が高まっていること、このことが事務所移転募金の目標突破、新聞「東友」の発行部数増などにつながっていることが特徴づけられました。
 アメリカの臨界前核実験と、小型核兵器の開発や地下核実験の再開計画の撤回など核兵器廃絶を求める行動、原爆被害への国家補償を求める運動の一環としてあずま原爆裁判の証人調べで東京地裁の大法廷を3度も満員にしたことなども位置づけられました。

陣野、矢野両氏ねぎらい懇親会

 総会後の懇親会は、杉並の陣野力子さん(82歳)の乾杯音頭で始まりました。陣野さんは、西荻窪診療所看護婦長などを務めながら東友会結成以来活動。故郷の諫早市に帰ることになりました。新宿の矢野君子さんは90歳を機に引退。矢野さんは体調が悪く欠席でしたが、2人へのねぎらいの言葉が贈られました。

2001年度財政 会員の熱意でしっかり

 2001年度の東友会財政は、1万3000件を超えた東友会の相談事業を反映して、会員と支援者の大きな協力をえて、しっかりと支えられました。
 会費は792万円(予算の99%)、東友会が連絡できる被爆者世帯の62%から送金されました。特徴は「夫婦でお世話になっているから」などのメッセージがついて、年間1口1世帯2000円の会費を2口、3口と送金する被爆者が増えていることです。
 東友会がひろく被爆者と支援者によびかけている「被爆者運動賛助費」は、実数で1979人(前年度比114%)となり、額ではこれまでで最高の548万円(予算の127%)となりました。「お世話になったから」という声とともに、「新聞『東友』を毎月送ってほしいから」と賛助費を寄せる人も増えています。

事務所移転募金は1002万円に

 港区の旧事務所の老朽化により文京区の現事務所に移転するにあたり、東友会がよびかけた事務所移転募金は、1158人から総額で1002万9060円寄せられ、目標の700万円を大きく超えました。

総会決議(要旨)

 東友会には2001年度1万3千件の相談が寄せられ、被爆者にとって無くてはならない会になっています。
 私たちは新たな被爆者がつくりだされてはならないと願っていますが、最近危険なニュースが伝えられています。一つはアメリカがアフガニスタンに対し報復戦争を始め、さらに「核戦略体勢の見直し」計画を立て、小型核兵器の開発、地下核実験の再開をはかっているということ。もう一つは、有事法制です。私たちは、有事法制が日本を戦争に巻き込む危険性について、学習を深めなければなりません。
 国の被爆者行政の根幹にかかわる原爆症認定制度の改善運動では、集団訴訟をすすめます。
 私たちは、高齢化、病弱化していますが、核兵器のない世界のために、支え励ましあい、運動をすすめます。

社団法人東友会も総会

 社団法人東友会第42回総会は、協議会総会のあと、159人の正会員中出席104人、委任状38人をえて開会されました。
 山本英典常務理事が相談事業を中心にした2001年度事業報告を、飯田マリ子常務理事が2001年度決算を提案。長岡和幸監事が会計と理事の業務についての監査報告をおこないました。3月の第41回総会で確認された2002年度事業計画と02予算の更正提案を田川会長と飯田常務理事が提案。
 すべての提案が全会一致で承認されました。