被爆者相談所および法人事務所
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被災68年・2022年3・1ビキニデー集会 オンライン開催で充実した集会に

中西俊雄(東友会執行理事・葛飾)

 「原水爆の犠牲者は、わたしを最後にしてほしい」。ビキニ環礁でアメリカがおこなった水爆実験の「死の灰」を浴びて亡くなった焼津のマグロ漁船・第五福竜丸の無線長・久保山愛吉さんの言葉です。
 今回、被災68年・2022年3・1ビキニデー集会に、東友会代表として参加しました。2020年、2021年とコロナ禍のため静岡・焼津での集会は中止されていました。2022年のビキニデーは当初2月28日、3月1日の2日間の開催予定でしたが、新型コロナのまん延防止期間のため、オンライン集会として開催されました。
 2月28日は、日本原水協の安井和正事務局長の基調報告に始まり、海外代表との交流フォーラム「禁止条約を力に――ともに核兵器のない世界へ」が開かれアメリカ、ドイツ、韓国などの代表と交流。後半のパネル討論「核兵器禁止・廃絶をリードする日本へ」では、5人の日本人パネリストが登場。世界の核兵器禁止の流れを広島・長崎・ビキニの体験を持つ日本こそがリードすべきという議論が展開されました。
 翌3月1日は、来賓あいさつやオープニング企画のあと、「広島、長崎、ビキニの被災と現在、被災者の救済」をテーマにメイン企画がおこなわれ、太平洋地域の水爆実験被害、「黒い雨」訴訟の現状、朝鮮人被爆者の証言などが、国内外の専門家や当事者から発言されました。
 いずれもオンラインなので会場の雰囲気は得られませんでしたが、パソコンの画面を通して発言者の顔を見、声を聞くことができ、直接その場にいることを肌で感じられる素晴らしい集会でした。

長方形の画面が16分割され、それぞれに参加者が映っている。分割された大きさはそれぞれ異なるが、4段4列になっている。一番右下の画面はさらにいくつにも分割され、楽器を演奏している人たちなどが映っている。そのほかの画面は、司会と思われる手話通訳者もいる画面、海外からの参加者、3人一緒に映っている人たち、グランドピアノとフルートを演奏する2人が映っているなども。
オンラインで開かれた2022年3・1ビキニデー集会の登壇者たち

3・1ビキニ事件とは

 1954年3月1日、アメリカは太平洋のビキニ環礁で水爆実験をおこないました。このとき、危険区域の外で操業中だった焼津のマグロ漁船・第五福竜丸が、核実験で生じた大量の「死の灰」(放射性降下物)を浴び、23人の乗組員全員が急性放射線症となり、無線長だった久保山愛吉さんが半年後に亡くなりました。日本各地でも放射能を含む雨が降るなどして、原水爆禁止の国民世論が高まり、核兵器禁止の署名運動が全国でくり広げられました。
 翌1955年8月には広島で「第1回原水爆禁止世界大会」が開かれ、さらに翌56年、長崎で開かれた第2回世界大会のなかで、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が結成されました。
 その後の調査で、被曝した船は1423隻に及ぶことがわかっています。