被爆者相談所および法人事務所
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核兵器禁止条約3周年 世界を動かすのは一人ひとりの努力から

 2020年7月7日で、核兵器禁止条約(以下、禁止条約)が国連で採択されてから3年目を迎えました。
 禁止条約前文は、「いかなる核兵器の使用も武力紛争に適用される国際法の規則、とりわけ人道法の原則と規則に反していることを再確認する」と明記。第1条で、締約国はいかなる場合も次のことをおこなわないとして、核兵器の開発、実験、製造、生産、あるいは獲得、保有、貯蔵を列記し、使用および威嚇を禁止しました。

国際条約に到達した意義

 2017年7月7日、国連で開かれた交渉会議で、「威嚇」は会議の最後の最後まで議論されて入れられ、参加国の6割を超す122カ国の賛成で条約は採択されました。
 1945年10月に国連が発足し、その翌年「原子兵器及び他のすべての大量破壊兵器を各国の軍備から除去する」ことを求めた第1号決議が採択されましたが、この決議につながる歴史的条約です。

被爆者が果たす役割

 日本被団協は56年の結成以来、「ふたたび被爆者をつくるな、核戦争をおこすな、核兵器をなくせ、原爆被害への国の償い」を国内外で訴え続けてきました。
 2016年4月、被団協結成60周年にあたり、「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(ヒバクシャ国際署名)を世界に呼びかけました。「原爆は、人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許しません。(中略)人間として認めることのできない絶対悪の兵器なのです」(「原爆被害者の基本要求」)の強い思いからです。
 平均年齢80歳を超えた被爆者は、後世の人びとが核兵器被害の生き地獄を体験しなくてすむよう、核兵器のない世界の実現のため運動に取り組んでいます。

3年目の現状と今後の課題

 禁止条約は第15条で「本条約は50カ国が批准、受諾、承認、加盟の文書を寄託してから90日後に発効する」と明記しています。2017年は3カ国、2018年は16カ国、2019年は15カ国、2020年はコロナ禍のなか7月15日までに6カ国が批准。最新は7月15日のボツワナで、現時点では40カ国の批准・加入となっています。
 一方、現在の核保有国は9カ国、核弾頭数は1万3400と推計されています。近年は、これまで積み上げてきた国際的な核軍縮に逆行する動きが核保有国のなかにあります。ヒロシマ・ナガサキのある日本の政府は、禁止条約に背を向けたままです。
 ヒバクシャ国際署名は、2020年3月末時点で1184万3549人分が集約されています。2020年が最終集約の年です。その国の政府を動かすのは、その国の人びとです。2020年中の禁止条約発効をめざし、日本国内で、世界で、被爆者一人ひとりができることを尽くしましょう。