被爆者相談所および法人事務所
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福島第一原発事故の現状を学ぶ 原爆も原発も国の政策が根っこに

なしくずしの被災者切り捨ては認めない

 東友会は2018年度からの懸案事項となっていた福島第一原発事故の現状を学ぶ学習会を2019年6月28日に開き、34人が参加しました。講師は、いわき市民訴訟原告団長の伊東達也さん。伊東さんは1987年から原子力発電所をかかえる地域の住民運動の全国センターの代表として原発の「安全神話」とたたかい活躍してきた方。2015年、東友会が被爆70年事業として企画した福島原発被害視察交流ツアーで参加した28人に、事故4年後の状況報告を講演していただきました。
 伊東さんは被災から8年後の現在、マスコミの報道が減り、事態は収束に向かいつつあるように思われがちだが実態は全く違うと強調。帰還困難地域は、東京23区半分強の面積に及び、未帰還者数は自主避難者を含めると10万人以上と推定されること、避難指定地域外に居住する人びとの生活もまだ元には戻っていない実態について、数字を挙げながら講演。
 一方で、国や東電は被災者への支援の切り捨てを進めていること、子どもの甲状腺がん発生については、現時点では放射能被曝との関連性はどちらともいえないが、継続的な検診や医療体制の充実を進めることが重要であること、廃炉作業は困難を極め、放射性廃棄物処分の見通しもないまま、原発再稼働やさらなる推進を進めようとしている政府と電力会社の方針の危険性など、多くの問題点を厳しく指摘しました。
 最後に「原発ゼロ」は実現できる政策であり、原発の廃棄と核兵器の廃絶は、表裏一体の関係にあり、被害者が手を携えて運動していく必要があると強調しました。
 その後、石飛公也業務執行理事が、被害者が起こしている裁判を支援する「原発事故被害の損害に関する署名」(「東友」5月号で呼びかけた署名)644人分を手渡しました。
 参加者は、被害者を一番大切にしている伊東さんの誠実な姿勢に感動。「原爆と原発と核兵器廃絶は密接な関連があり、過去の事実と現実の社会の矛盾をよく見定め、真実を求めて行動することの大切さをしっかりと認識できた」「福島原発の事故に対する報道に接するたびに、被爆者として心が痛み、不安感を抱き続けてきたが、決して目を背けてはいけないことを痛感した」「被害者差別の問題は、被爆者も同じ境遇で心が痛んだ」「原子力の平和利用についてもお話しをいただき、勉強になりました」などの感想文が寄せられました。

講師の伊東達也さん
席についてメモをとりながら話を聞く参加者たち
熱心に聞き入る参加者
原発裁判の署名を手渡す