被爆者相談所および法人事務所
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71年目の広島・長崎 「くり返すな」の願い今も鮮烈

広島に植樹したイチョウに再会 大木に成長した姿

 2016年8月5日、広島市平和公園内に植樹されていたイチョウと東友会代表が45年目の再会をしました。1971年9月に広島を訪問した東友会と関東甲信越ブロックの慰霊墓参団に参加した東京と神奈川の代表が8本のイチョウの幼木を植樹したもの。
 2015年晩秋にこのイチョウを発見した広島平和資料館のピースボランティア恵美勇作さんの案内で、家島昌志・山田玲子執行理事などが再会。この日確認できたのは4本でしたが、当時東友会の原爆犠牲者慰霊碑が在った品川区の東海寺と、縁切り寺で有名な鎌倉市の東慶寺の境内に自生したイチョウの苗木は、一抱えもある大木に成長し、今も氏名が判明しない7万柱を超える遺骨が納められている原爆供養塔を守るように葉を茂らせていました。
 翌6日、広島市の平和祈念式典に参列した東友会と地区の会の代表は、ふたたび東友会のイチョウを訪ね、献水しました。

一人では抱えきれないほどの太さ、6メートルを超えるほどの高さに育ち葉を茂らせるイチョウの前での集合写真。東友会のたすきを掛けた15人ほどが写っている。
大きく育った東友会のイチョウの前で(広島平和公園内)
恵美勇作さん

「あの日」の思いを胸に 東友会代表が炎天下で奮闘

 被爆71年目となる2016年も、東友会と地区の会は広島・長崎両市に、原爆死没者への追悼と核兵器廃絶の実現を求めて代表を派遣しました。その足跡をたどります。

8月5日 広島

 広島では8月5日、45年前に平和公園に植樹したイチョウと再会し、猛暑をついて東京から参加した被爆者と家族10人が、広島中央公園に植樹されている「東京の木」ケヤキのもとに参集。黙祷の後、水を求めて亡くなった被爆者への思いを胸に一人ひとりが献水。その後、東京都派遣死没者調査員・東條明子さん(練馬区)と東京都派遣遺族代表・藤澤汎子さん(足立区)、的早克眞事務局員が、広島市の名簿照合の窓口がおかれている広島市国際会議場を訪問し、2015年に亡くなった被爆者172人の名簿を手渡し、広島市の原爆死没者名簿との照合を依頼しました。
 同時刻に広島弁護士会館で開かれたノーモア・ヒバクシャ訴訟全国弁護団会議に、家島昌志執行理事と村田未知子事務局主任が参加しました。

会議室のような部屋、2人ずつ向きあって座れる4人掛けのテーブルの上に書類を広げ、立ったまま確認する東友会の2名と広島市役所の2名
広島市に名簿照合を依頼

8月6日 広島

 翌6日の広島市の平和祈念式典には、東京都派遣遺族代表と都派遣死没者調査員、地区の会の代表16人が参列。広島市が用意した式典会場は昨年以上にテントが広げられ、会場内のイスも増やされているのか、余裕をもって座ることができました。
 式典には5万人が参加。海外代表は昨年に次いで多い91カ国と欧州連合が参加したと報じられました。
 松井一實市長は「平和宣言」の中でオバマ大統領の広島訪問に触れ、「各国の為政者に、改めて被爆地を訪問するよう要請します」と強調。「核兵器のない世界は、日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現する世界でもあ」るとして、為政者のリーダーシップを迫りました。
 一方、安倍晋三首相の挨拶は例年の枠内にとどまり、その後の被爆者団体との意見交換会でも残念ながら進展はなく、長崎でも同様でした。
 代表はその後、葛飾・葛友会が折り鶴の子の像の隣りに植樹しているクスノキへの献水式に参加し、東友会のイチョウを訪ねて、慰霊碑に献花しました。

並べられた献花台の前には献花の列。たすきを掛けた東友会代表らが献花している。
広島の平和式典後、献花する東友会代表
クスノキの脇には植樹の日など記した標柱が立てられている。クスノキの前で、たすきを掛けた東友会代表らに向かって話をしている方がいる。
広島での献水式

8月8日 長崎

 長崎市では8月8日に日本被団協結成60周年レセプションが開かれ、東友会の大岩孝平代表理事、濱住治郎執行理事、村田主任をはじめ65人が参加しました。これは原水爆禁止運動に励まされて1956年8月第2回原水禁大会に参加した全国の被爆者が、8月10日に長崎市国際文化会館で日本被団協結成大会を開いたことによるもの。
 式典では日本被団協を支え続けてきた生協連や原水禁団体代表の挨拶、原水禁大会に参加した世界各国の代表からの激励がありました。田中煕巳事務局長が60年間の活動をスライドを使って紹介し、参加者から、「みんな若い」「懐かしい人に会えた」という声が聞こえました。

「日本被団協結成60周年祝賀会」の横幕の下、小さい舞台に十数名がなにか書かれた紙を持って立っている。それを撮影する人も写っている。
日本被団協のレセプション

8月9日 長崎

 9日は、長崎市の式典の前に、葛飾・葛友会が長崎市平和公園に植樹したクロガネモチと東友会が植樹した「東京の木」クロガネモチへの献水式が続けて開かれました。これには、大岩代表をはじめ東京都派遣死没者調査員の吉田千代美さん(多摩市)、村田主任や地区の会の代表14人が参加しました。
 6000人が参加した長崎市平和公園での平和式典に、東友会関係者は15人が参加。「平和宣言」の中で田上富久市長は、深い思いを込めた口調で、「核兵器の歴史は不信感の歴史」であったと言明。「信頼のサイクルへの転換」のため、被爆体験を受け継ぐ重要性を説き、「未来のために過去と向き合う一歩を踏み出そう」と呼びかけました。
 長崎市への名簿照合の依頼は毎年、市役所を訪問しています。2016年も10日、東友会の3人の派遣代表と遺族代表・佐藤靜子さん(江戸川区)が市役所を訪問。長崎市原爆被爆対策部の鳥巣勝秀次長などに124人の原爆死没者名簿を手渡し、照合を依頼し懇談しました。

すでにたくさんの花が置かれた献花台の前で、花束を持つ人を含む東友会代表らが写っている。
長崎の平和式典後、献花する東友会代表
クロガネモチの木の前で話をする型と、それを聞いている東友会代表ら。
長崎での献水式
東友会代表3名と長崎市役所の3名が、大きいテーブルに向きあって着席している。

長崎市に名簿照合を依頼