被爆者相談所および法人事務所
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オバマ米大統領のヒロシマ訪問をめぐって

人が作った核兵器は人が廃絶の決意を オバマ氏にはその先頭に立つ責務がある

 伊勢志摩サミットのために訪日したオバマ米大統領が2016年5月27日、被爆地・広島を訪問しました。現職のアメリカ大統領が広島を訪問するのは初めてのことでした。「何のための訪問か」、「謝罪のためではない」、「平和の誓いをたてるためでもない」……。訪問前から、期待や疑問をとりまぜた様ざまな議論がありました。
 日本被団協は5月18日に「要望書」を発表し、「1.核兵器のない世界を実現する先頭に立つこと。2.国連決議に従って開かれている作業部会への参加。3.包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准すること。4.被爆の実相に触れ、被爆者の話を聞くこと」を要望しました。
 外務省は「被爆の実相に触れる」ということで原爆資料館に大統領を案内し、日本被団協代表3人の席を平和公園内に設けました。
 大統領は、専用機とヘリコプターで岩国基地から広島平和公園に到着、原爆資料館を約10分間視察、訪問の所感を17分間スピーチ。その後、日本被団協の坪井直代表委員らと握手し、言葉を交わして広島を離れました。NHKは午後4時から6時45分まで、オバマ大統領の言行すべてを実況放送しました。その放送室に、東友会の大岩孝平代表理事が「日本被団協代表理事」の肩書きでコメンテーター(解説者)として招かれ、生放送で解説をおこないました。
 大統領の広島訪問とスピーチには、積極的な評価と消極的な評価とがあります。現職大統領が広島を訪問したこと自体が画期的、犠牲者への弔意を献花で示し、原爆使用を肯定せず、被爆によって起きた悲惨、非人道性に思いをはせ、核なき世界の早期の実現への努力の必要を強調したことなどを評価していました。朝日新聞の被爆者120人へのアンケートでは評価得点は74点でした。
 消極的評価では、原爆投下が天災であったような表現をしていたこと、美しい言葉はあったけれど具体的中身が全くなかったことなどが挙げられています。大岩代表もコメントの最後を、「核なき世界の実現のためなにをするのか、まったく触れられなかったのが残念。オバマ氏は大統領を辞めても、ノーベル平和賞受賞者として核兵器廃絶運動の先頭に立ってほしい」と結んでいました。

原爆ドームを背景にスピーチするオバマ大統領(テレビ放映から)
NHKテレビに出演し、被爆者の立場でコメントする東友会の大岩代表理事(左から2人目)