東友会「被爆二世調査」まとまる 健康不安61%、原爆許せない87%など
被爆二世政策の拡充、核廃絶の運動に役立てよう
東友会が結成55周年事業の一環として取り組んだ東京在住被爆二世の実態調査がまとまり、2015年7月29日、都庁記者クラブで発表しました。
会見には、調査分析に当たった八木良広・愛媛大特定研究員、根本雅也・一橋大特別研究員、深谷直弘・法政大非常勤講師の3専門家と、東友会から大岩孝平代表理事ら6人が立ち会いました。東京被爆二世の会(おりづるの子)からも、田﨑豊子会長ら4人が参加しました。
八木氏が調査目的と調査結果の特徴を説明。調査対象は東友会が掌握している被爆二世の名簿をもとに、2013年1月、新聞「東友」に同封して2391人に調査票を送り、2月末を期限に回答を要請したところ、660人から回答を得ました。
調査目的は、被爆二世を対象にした初の学術調査であり、東京都が実施している二世施策の実施状況を把握して今後の施策改善に役立てるという政策的調査であり、二世の健康実態と考えを掌握することで今後の「核兵器なくせ」の運動にも役立てることだと説明しました。
おもな特徴
回答者の年齢は50歳以上が68%で二世でも高齢化が進んでいること、収入100万円未満が27%でそのうち9割が女性であること、慢性的な病気で通院中の人が35%、一時的な病気で通院中の10%を加えると、45%が何らかの病気を持ち、具合が悪くなると「原爆のせいではと不安になる」が36%もいます。
疾病名で見ると、がん・白血病6.5%、心臓疾患4.4%、甲状腺障害3.6%、血液疾患2%などで、当初危惧されたほど高い数値はありませんでした。
しかし、病気の有無にかかわらず、親が被爆したことで「いつも不安」「少し不安」「時々不安」と不安を感じる人が61%いて、自分の子や孫の将来についても32%の人が不安を持っています。
広島・長崎に原爆が投下されたことについては、「戦争であっても許せない」と思っている人は87%に達します。
「自由記載」欄には、「父も祖父も被爆し、いずれもがんになった。私も36歳のときがんになった」「母は低白血球症で胃がんにもなった。私の低白血球症と免疫力の低さは被爆によるもの、遺伝だと思う」など、不安を訴える文言が多く見られます。
東友会は、全国でも数少ないこの被爆二世調査結果をもとに、東京都へは二世対策のいっそうの充実、国に対しては被爆二世の全数調査を要求していくことにしています。