東友会医療講演会 「被爆者の検診から見えること」
放射線被ばくと糖尿病の関係を中心に
東友会は2014年3月29日、練馬区光が丘区民センターで2013年度第2回医療講演会を開催。講師は小豆沢病院元副院長の中村直也医師でした。
中村先生は長年被爆者の健康診断や診療をおこなってきた経験をもとに、「被爆者の検診から見えること」と題して講演。とくに強調された病気は糖尿病でした。
糖尿病初期には症状がないが、進めば肝臓がん、アルツハイマー型認知症、脳卒中、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症(下肢切断にいたる場合も)など、あらゆる病気になる可能性が強まると強調。「治療開始が遅れるほど合併症を起こす確率は高まる。早めに治療し安定すればその危険性は減る。糖尿病の早期治療はその後の合併症にならないための保険」と、早期発見・早期治療を呼びかけました。
糖尿病とがんの予防は共通した内容が多く、過食・夜食、甘いものの取り過ぎは禁止、運動不足の解消とストレスコントロールや十分な睡眠をとることが、どちらにとっても大切だと強調しました。
続いて、がんや糖尿病などの患者数を原爆被爆者と非被爆者で比較したグラフを紹介。チェルノブイリ原発事故の以前と以後の発病者数を比較した研究結果を示し、放射線被曝ががん以外の糖尿病、心筋梗塞などの非がん疾患も引き起こしている可能性を説明しました。最後に、福島の子どもたちの糖尿病多発も、研究者のあいだでは被曝が原因の可能性が大きいと指摘されていることを紹介し、「戦争も原発もいらない」と締めくくりました。
参加者は49人。都合で質疑応答の時間は取れませんでしたが、「最近の検査結果が頭に浮かんだ」「糖尿病と内部被曝の怖さが理解できた」などの感想が寄せられました。