【談話】 福島第一原発事故から3周年を迎えて
一般社団法人東友会執行理事 東京都原爆被害者団体協議会事務局長 家島昌志
忘れることのできない東日本大震災と原発事故から早や3年が経過しました。
しかし、放射能に汚染された街の除染は遅々として進まず14万人以上の人びとが避難生活を余儀なくされたままです。被災者の避難した街はイノシシが闊歩する有様です。この事故を重く受け止めた時の民主党政権は、2030年に原発稼働ゼロを目指すとした革新的エネルギー政策を打ち出しました。
その後政権は交代。経済産業省の諮問機関である総合エネルギー調査会は、2013年3月から12月まで15回の議論を経た後、この基本方針を覆し、「原発の再稼働を進める」との政策転換を明記したのです。
原発について、優れた安定供給性と効率性を有しており運転コストが低廉で変動も少なく、運転時に温室効果ガスも出ないと評価。その上で「エネルギー供給構造を支える重要なベース電源である」とし、安全性の確保を前提に引き続き活用するとの方針を明らかにしました。
福島第一原発は、いまだに大量の汚染水を止める目途も立たず、原子炉内部の様子すら判明しておりません。より条件の良いといわれた米国のスリーマイル島の原発事故ですら核燃料の取り出しに2010年の歳月を費やし、それから45年後に原子炉取壊しに手を付けるという計画なのです。旧ソ連邦ウクライナのチェルノブイリ原発事故にいたっては、10万年後にならないと近辺に人も立ち入れないという気の遠くなるような話なのです。
最終処分方法も分からないような人知に余る原子力に人類は手を染めるべきではありません。
私たち東友会は、役員会の総意により、1月9日、経済産業省の方針転換に対して厳重な抗議文を送付しました。