原爆症認定の在り方めぐり会合・行動つづく
魂の入った「援護法」で本物の償いを
原爆症認定制度について、抜本改正を求める日本被団協側と現行制度の手直し程度ですまそうとする厚生労働省の思惑とのせめぎあいが続くなか、2012年4月26日の「第11回原爆症認定制度の在り方に関する検討会」で新たな展開がありました。日本被団協はこの日、厚労省前で80人が参加して街頭行動をおこない、国家補償の観点での認定制度の見直しとともに、現行法の抜本的改正を求めました。
厚労省 原爆症認定制度「検討会」 新提案がなされるも議論は継続
検討会にはこれまで、日本被団協の「提案」のほかに、草間朋子委員(大分県立看護科学大学長)から「放射線起因性」ではなく「原爆起因性」というとらえ方ができないかという意見が出ていました。第11回会合では、山崎泰彦委員(神奈川県立保健福祉大名誉教授)から、現行制度を基礎にして「第1種被爆者」と「第2種被爆者」を分けてはどうか、という新提案が出されました。第1種とは、現在認定されている被爆者で、第2種とは医療の必要度、要介護度、要援護度を参考に決めるというものです。
この提案には、要医療度の診断などで日本被団協提案と似たところもありますが、被爆者を線引きするとか、現行認定制度を基礎にするなど、問題が多く、またよく理解できないことなどがあって議論は進みませんでした。
坪井直委員(日本被団協代表)は、「被爆者援護法ができても魂が入らなければ被爆者は納得できない」と発言しました。
厚労省前行動で被爆者らが行動 新局面を迎える「検討会」に要請
第11回検討会が開かれるのを期して、日本被団協と東京・首都圏の被団協は、26日午前11時半から12時半まで、厚労省前で要請と抗議の行動をおこないました。「原爆症認定制度を抜本的に改正せよ」の横幕の前で、検討会の傍聴にきた各県被爆者、弁護団、支援者がマイクを握って厚労省への要求を発言しました。
参加者は約80人。東京、神奈川、千葉、埼玉の被爆者をはじめ愛媛、石川、宮城、岐阜の代表も決意表明し、弁護団も各地から多数参加しました。シュプレヒコールで「厚労省は、29回もの原告・被爆者勝利の判決に従え」「二世、三世への援護対策をつくれ」「福島原発の被害者に補償せよ」と訴えました。
各会派の国会議員と院内集会 早期の抜本解決へ国会でも行動を
原爆症認定制度の抜本改正を求める院内集会が4月18日、参議院議員会館集会室でおこなわれ、首都圏の被爆者50人が参加しました。民主党・高木義明衆院議員、自民党・河村建夫衆院議員、公明党・谷合正明参院議員、共産党・井上哲士、田村智子両参院議員、社民党・福島瑞穂参院議員らが参加。河村元官房長官は、「3年前に確認書が取り交わされたのに、まだ解決していないのは残念だ。早く解決するようにしたい」と発言。拍手を受けました。
各党には、「議員懇談会などを再開して未解決の問題解決にあたってほしい」「国会の委員会で質問して欲しい」などと要請しました。