被爆者相談所および法人事務所
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前号「福島原発事故」特集へのご質問・お問い合わせに対する回答

 福島第一原子力発電所の放射能漏れの事故について、「東友」2011年4月号(318号)で緊急特集を掲載しました。これについて、「東友」編集部にいくつかの質問が寄せられていますので、Iさんに答えていただきます。

Q 大変参考になりました。Iさんはどうやってお調べになったになったのですか。
A 原発事故では、聞き慣れない言葉や数字が毎日報道されています。これを整理したのが前回の特集です。
 まず、数字の根拠を示しておきます。このQ&Aの記事の中のほとんどの数字は今回の事故に関しての東京電力、原子力安全委員会・保安院からの発表に基づく新聞、テレビの報道から得たものです。
 Q6の「3万から13万ベクレル」の数字はテレビで得たものです。新聞を見直してみますと、2011年4月12日の原子力安全委・保安院の記者会見で「37から63京ベクレルで、チェルノブイリの520京ベクレルの1割前後だ」と発表されています。発表はセシウムやヨウ素についてのデータもあり、テレビはこの詳細を計算しなおして報じたようです。

Q チェルノブイリとの比較もありますが。
A 広島・長崎の原爆の放射能との直接の比較は今回の事故報道の中ではまだありませんが、チェルノブイリとの比較はIAEA(国際原子力機関)が「広島・長崎の原爆の400倍」と発表しています。講談社ブルーバックス「世界の放射能被曝地調査」(高田純・著)には「広島原爆のおよそ500個分と莫大であった」(167ページ)とあります。その1割前後だから、広島・長崎の40から50発分と大雑把に計算しました。

Q 原爆症認定では、原爆放射線の影響は「直爆3.5キロ、入市2キロ」などといわれましたが。
A その数字の根拠については私はよく知らないのですが、1965年に暫定的に推定されたT65D(1965年放射線量暫定評価)、その後日米合同の調査で再評価されたDS86(1986年放射線量評価システム)に基づくものと考えています。爆心地からの距離によって被曝線量がどのように変化するかを推計したものです。原爆症認定訴訟では「被爆の実態をよくみることが重要で、DS86だけを根拠にすべきでない」とされたことをご存知だと思います。
 Q8にある避難指示の根拠となる数字も、DS86を反映しています。原爆医療法は被爆線量のことは何も触れていませんが、当時は全身照射の線量50ミリシーベルト(法制定時は「レム」の単位が使われていました)が線量限度として論じられており、一般被爆者はこの線量を超える被爆をした者とされたと思われます。
 Q8で説明しましたが、避難指示は50ミリシーベルトが基準です。今回の原発事故対策では、広島・長崎の原爆被害の数値が使われています。