被爆者相談所および法人事務所
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東友会相談員養成研修会 原爆症認定審査の実情を分析

 2010年度第4四半期の相談員養成研修会が2011年2月11日、「原爆症認定制度と最近の審査内容」をテーマに世田谷区の北沢タウンホールで開かれました。研修会は東京都の委託事業として東友会が年4回開催しているもの。雪がはげしく降りしきるなか参加した28人の被爆者と被爆二世は、原爆症認定制度や現在の審査の問題点について熱心に学習しました。
 講師となった東友会の村田未知子相談員は58枚のスライドを使って講演しました。医療費の10割を国庫が負担する認定医療費と高卒者の初任給程度の額として設けられた医療特別手当が、被爆者と国民の運動なかで実現されてきた国家補償的施策であることや原爆症認定集団訴訟運動の成果について写真や資料を投影しながら説明しました。
 同時に、集団訴訟に敗訴しつづけた国が2008年4月からやむなく「新しい審査の方針」での審査をはじめたこと、その後2年10カ月間の審査について、厚労省が発表した7002件の審査結果と東友会が直接に対応した304件の審査内容をもとに問題点を紹介。とくに2010年度に入ってから認定1276件に対し、却下4628件と却下が3.6倍になっていること、「積極認定」とされる被爆状況と「指定病名」であっても「放射線起因性が認められる場合」という条件がつけられた白内障、心筋梗塞、慢性肝炎・肝硬変が直接被爆1.5キロ以内、甲状腺機能低下症は集団訴訟の前に使われていた2キロ以内という基準で却下されていると分析。残留放射線による影響を無視しつづける厚労省の姿勢―原爆被害を狭く小さく軽く見る姿勢―を同省のウェブサイトに書かれた文書等を引用しながら厳しく批判しました。
 参加者からは、「雪の中を来たかいがあった」「時系列的経緯が整理されていてよく分かった」などの感想が寄せられました。

並べられた机に着席する参加者たち。うち一人が立って質問している。
雪の降る寒い日でしたが熱く学ぶことができた講習会でした。
講師の村田相談員