被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 初の「原告団会議」で意思統一

「新しい認定基準」に要求を反映させよう

 原爆症認定集団訴訟で初の全国原告団会議が2008年1月10日、日本青年館でおこなわれ、全国14地域41人の原告が参加しました。
 原告団を代表して報告にたった山本英典全国原告団長は、「今日の会議の目的は3つ。1は、2007年8月の安倍前首相の『認定制度見直し』発言以来、厚生労働省と政治の場で激しく動いてきた情勢についての認識を共有すること。2は、現在進行中の新しい認定基準作りに原告の要求を反映させること。3は、今後の裁判についての認識を同じくすること」だと述べました。続いて、安原幸彦弁護士が「『原爆症認定の在り方に関する検討会報告』と『与党プロジェクトチームのとりまとめ』と、これからの政府の動きについて」を報告。野党の動きについて杉尾健太郎弁護士が、「今後の裁判について」は宮原哲朗弁護士が報告しました。討論では、国会議員の「賛同署名」を獲得する方法、与党提言にもないが裁判所だけが認めている疾病の扱い方など、活発な意見が出ました。
 会議では、被爆者の要求について「これまで6地方裁判所が認定した幅広い疾病を原爆症と認定すること」など5項目を確認。最後に「原告の決意と訴え」を採択しました。

「全国原告団代表者会議」と書かれた横幕を背に、並べられた机に着席する原告ら。
原告団会議後の記者会見

原告の決意と訴え(抜粋)
2008年1月10日 原爆症認定集団訴訟全国原告団代表者会議

 全国15地方裁判所、6高等裁判所で、原爆症認定を求めてたたかっている原告302人の代表が集まって、本日、全国原告団代表者会議を開催した。会議には、原告を支え、励ましつづけている被爆者、支援者、弁護団も参加した。
 会議では、原告らの近況、裁判の現況、支援行動の広がりなどが報告・論議された。原告たちは、裁判に立ち上がったこと自体が、被爆者として生きてきた人生におけるぎりぎりの選択であり、裁判が一日でも長引くことは、寿命が一日削られる思いであるとも話された。
 原告らの命をかけたたたかいが、核兵器廃絶の世論を広げ、原爆症認定制度改革への牽引車の役割を果たしていることが、支援の人びとから語られた。
 会議では、裁判所が被爆の残酷な実態を正しく判断し、原告らに起きている疾病を広く原爆症と認定したこと、国民世論がこの裁判所の判断を支持し、国に認定制度の見直しを要求する声が大きく広まったこと、政治もまた、冷酷きわまる現行認定制度の改正に向かって動いていることに、集団訴訟をたたかう確信を深めたとの発言が相次いだ。
 しかし、厚生労働省は、あくまでも被爆者を切り捨てる「原因確率」に固執し、改革を求める原告・国民の声に耳をふさぎ、わずかな手直しで済まそうとしていることが指摘され、原告から怒りの声が続いた。
 会議では、原告として、次の諸項目を政府・厚生労働省に要求するとともに、国民に支持を訴えていくことを確認した。

原告の政府への要求

  1. 原爆症認定制度を、被爆の実態にあった制度に抜本的に改めること。
  2. 日本被団協が要求してきた9疾病、とりわけ、がん、白血病については、無条件に認定すること。
  3. これまで6地方裁判所が出した判決を尊重し、裁判所が認めた広範な疾病を原爆症と認定すること。
  4. 被爆の実態についての理解を欠く委員によって認定審査をつづけてきた医療分科会を全面的に改革し、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の推薦する委員を加えること。
  5. 現在の原告全員の認定却下処分を取り消して、原爆症と認定すること。

原告の決意

  1. 厚生労働省が作業中の「見直し基準」が、被爆者を広範に救済する基準を明確に打ち出さない場合は、これを拒否することをふくめ、早期解決を広く世論に訴える行動に出ることを表明する。
  2. 現行法で救済できない場合は、法律の改正を求める。
  3. 裁判の早期解決と、被爆者要求の早期実現についての政治決断を総理大臣に求める。