被爆者相談所および法人事務所
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国連で初の「原爆展」 NPT再検討会議へ働きかけ 各国代表ら熱心に見学

 2005年5月2日から国連本部で5年ぶりのNPT(核不拡散条約)再検討会議が開かれています。これに合わせ、国連での原爆展が実現。日本から被爆者の代表団(被爆者29人と二世3人の計32人)が訪米し、東友会からも8人が参加しました。東友会代表のひとり大岩孝平さんに、報告を寄せていただきました。

被爆者は飛び回って証言・行動 大岩 孝平(三鷹・三友会)

 長年の懸案であった国連での原爆展が、NPT(核不拡散条約)再検討会議の年に実現する運びとなりました。
 私たち一行(大岩孝平・三鷹、南薗優子・世田谷:以上、東友会派遣。上田紘治・八王子、田邉俊三郎・調布、塚本美知子・杉並、山田玲子・豊島、平田道正・杉並、小西悟・杉並)は、東友会代表として日本被団協代表団とともにニューヨークの国連本部を訪問しました。
 被爆者の代表は、原爆展の会場のほかに各班に分かれてそれぞれに証言活動、各国の人々との交流、NTP会議の傍聴、国連からセントラルパークへの4万人の大パレードに参加、各国の国連大使への要請等々と、精一杯の活動をしてきました。
 国連での証言・交流では、アメリカ人も含めて各国の大勢の人たちが我々の話を真剣に聞き、原爆の恐ろしさ、核兵器の非人道性を実感し、核兵器廃絶に向けた運動に積極的であったと思います。
 アメリカ人の中から、「アメリカに原爆が落ちたらアメリカ人の核に対する考えは変わると思うか」、「米政府は9・11の報復をする前に、なぜそんなに憎まれるのか考えるべきだ」という声が聞かれたのは印象的でした。
 学校、教会、諸団体、その他いろんな場で証言、交流をおこない、大きな成果をあげたと思います。同時に、私たちも証言・交流をおこなう中で、世界の人びとと接して感銘を受けるとともに、核兵器廃絶に向けた動きをますます加速させなければならないことを実感し、平和の追求に邁進する覚悟を高めてきました。
 今回のNPT再検討会議が成功し、条約第6条の「核兵器廃絶の明確な約束」が期限を切って実行され、核保有国、とくにアメリカが核の放棄を明言して、2020年には世界中から核兵器が消え去ることを切望し、期待したいと思います。

国連本部ロビーに2メートルほどのついたてが並び、一枚一枚にパネルが展示されている。その前を埋めるようにたくさんの見学者たち。
国連本部ロビーで注目を集める原爆展
「NOMORE HIROSHIMAS NOMORE NAGASAKIS」と書かれた大きい横断幕を9人もの人が横に並んで先頭に掲げ、ニューヨークの車道をパレードしている。
ニューヨークの街をパレードする被爆者たち
展示物に見入る人たち。
原爆展を真剣に見る人たち

NPT再検討会議とは

 NPTは、「核兵器の不拡散に関する条約」の略称で、5年ごとに再検討会議が開かれます。(今回7回目)
 NPTは、核保有国を増やさないための条約ですが、現在の核保有5カ国(米・ロ・英・仏・中)は例外扱いする不平等な条約です。しかし2000年の会議では、「核兵器の全面廃絶に対する核保有国の明確な約束」を含んだ最終文書を合意しました。その後、核兵器開発疑惑を口実に米国のイラク攻撃があり、北朝鮮はNPTを脱退。米国は新型核兵器開発を明言しています。
 2005年の会議は、核保有国に5年前の約束を実行させ、核廃絶のリーダーシップをとらせることが焦点です。広島・長崎両市長が主導する平和市長会議は、2020年までに核兵器を廃絶するよう提案しています。