被爆者相談所および法人事務所
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この夏の誓い――「被爆の実相」直視を――
東友会事務局長 山本英典

 ことし(2004年)7月と8月、私は広島を2度訪ねる機会があり、広島港外にある似島も訪ねました。ちょうど、似島中学校の運動場に隣接した空き地から原爆被爆者の遺骨が発見され、発掘作業がおこなわれていた時期です。遺骨は、7月末までに82体が確認されました。
 「59年経っても、原爆はまだ終わっていない」と痛感したものでした。この思いは、広島、長崎両市の「平和宣言」、原水爆禁止運動の諸決議に反映し、「被爆の実相や命の尊さ」を学び、核兵器廃絶運動を具体的に強めていく方向性が出されたのが、ことしの特徴でした。
 「広島・平和宣言」は、似島での遺骨発見について「原爆の非人間性と戦争の醜さを告発」しているとのべ、「人類未曾有の経験であった被爆という原点に戻り」「被爆者の証言を世界に届け」「平和憲法を擁護」し、「核兵器容認の風潮」をただそうとよびかけました。
 「長崎・平和宣言」は、「今もなお、原爆後障害や被爆体験のストレス」など健康障害で苦しんでいる被爆者がいることをあげて、「59年にわたって原爆がもたらし続けているこの悲惨な現実を直視してください」と訴えています。
 原水爆禁止世界大会では、「被爆の実相」を知るために被爆者から体験を聞く、原爆症認定運動を勝利させることの大事さが強調されていました。決議では、来年(2005年)を「核兵器の恐怖から人類を解放するための国際行動の年」にし、そのため「広島、長崎の被爆者、世界の核被害者との連帯をいっそう強め」ることを確認していました。
 ことしの夏は、猛暑にも負けず、「被爆の原点」に立った核兵器廃絶運動をすすめる誓いが、新たになされたといえるでしょう。