被爆者相談所および法人事務所
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あずま原爆裁判 あずまさん本人が被爆状況を証言

憶えているのは「助けて」の悲鳴

 あずま原爆裁判の第16回口頭弁論が2002年10月11日に東京地裁103号法廷で開かれ、「原爆裁判の勝利をめざす東京の会」会員、被爆者、支援者など97人が傍聴しました。
 この日の証人は、原告・あずま数男かずおさん。長崎の爆心地から1.3キロにあった三菱兵器製作所大橋工場で被爆したあずまさんの被害状況から、大村海軍病院に移送されるときの様子、被爆直後の治療や健康状態など、原告代理人・安原幸彦弁護士からの尋問の一つひとつに、ことばをかみしめるように証言しました。
 東さんは安原弁護士の尋問にたいする最後の証言で、「国は一番大切なことを忘れていると思います。原子爆弾を投下された責任は、被爆者にあるのではなく国にあるということを。国はこの原点に立ち返って、被爆者行政に取り組んでほしいと思います」とのべました。
 国(被告)代理人は、被爆直後にアメリカ原爆傷害調査委員会(ABCC)から東さんが受けた調査内容と東さんの証言が違うと再三言及していました。
 証言でわかったことは、東さんの被爆直後の記憶が、瓦礫の下から「助けて」という男とも女ともわからない声を聞いたことだけだったことでした。被爆直後の工場の様子も、周囲の状況も東さんの記憶には残っていないことを知った傍聴者から、「あまりの悲惨さに、記憶を押し込めてしまうというPTSD(心的外傷後ストレス障害)がこれかと驚いた」という発言がありました。
 傍聴後の報告会では、「東さんにつづけ」と原爆症認定集団申請に参加した東京の被爆者の発言や調査をつづけて集団申請にとりくんでいる神奈川と千葉の被爆者団体からの報告、東京原水協の後藤葉子事務局長は「74歳という高齢で肺ガン手術を受け、肝硬変で苦しむ東さんが、法廷に出てきて何時間も尋問に答えなければならない姿を見ただけで、国の行政の冷たさがわかる」と発言し、参加者の共感をよびました。

署名を提出 累計6万5000

 10月11日、あずま原爆裁判第16回口頭弁論の前に、「原爆裁判の勝利をめざす東京の会」は、1万422人分の「あずまさんの被爆の実態に即して公正な裁判を求める署名」を東京地裁に提出しました。
 これまで提出した分を含めると署名の総数は6万5614人分になりました。