東友会医療講演会 整形外科医からのメッセージ 40年の被爆者医療から
聞き手も納得の講演会に 加齢にともなう課題を平易に解説
東友会は2024年10月20日、文京区内で医療講演会を開き、都内14の区市から32人が参加しました。医療講演会は東京都からの業務委託を受けて開催しているものです。
今回は、高齢になった被爆者やその家族、周囲の人が抱える不安に応えるため、長年被爆者の医療に携わってきた向山新医師を講師に招き、「整形外科医からのメッセージ 40年の被爆者医療から」のタイトルで講演していただきました。向山医師は40年前、大田区にある大田病院で医師としてのキャリアをスタート。いらい一貫して被爆者の医療に関わっています。
向山医師は、「被爆後、80年近くを生き延びてきたみなさんが、今一番切実なのは、高齢化にともなう様ざまな問題だと思います」と話し始め、加齢にともなって起こる病気や様ざまな機能障害、骨粗鬆症やロコモティブシンドローム(運動器障害)、サルコペニア(筋力低下)、フレイル(虚弱)などについて、スライドを使って説明。こうした症状を放置すれば、骨密度が低下して骨折を引き起こし寝たきり状態につながるなど、個々の症状と全体的な関連性を強調しました。
そして、こうした問題の予防のため、「栄養不足」「運動不足」「社会参加の不足」を防ぐことが大切であると指摘しました。
- 栄養の取り方については、カルシウムやコラーゲン、ビタミンなどの栄養素の役割と、それらを効率的に摂取するための食品の種類や食事の仕方も詳しく説明しました。
- 運動については、軽い運動を心がける運動習慣をつける必要があること、身体の活動量が減ると筋肉が減ってしまいフレイルの原因の一つになると話し、「指輪っかテスト」という筋肉チェックの指導もありました。
- 社会参加は、生きがいや人間関係の維持はもちろん、運動不足や身体活動量の低下を防ぐ役割もあり、東友会の活動に積極的に参加していくことも、その意味で大切だと述べました。
そのほか、転倒予防のための住まいの環境整備、例えば手すりをつけたり段差をなくすなど、細かなところまで詳しく説明。予定の時間を大幅に超えた講演になりましたが、参加者は熱心に耳を傾けていました。
参加者からは、次のような感想が寄せられました。
- 本来安心な家の中での行動に注意することを知ったことが、一番の学びでした。
- 転んで頭に血がたまることがあるので気をつける、との話が参考になりました。
- 高齢になり健康問題を多く抱えるようになったが、今回の講演で注意すべき全体像を理解できたことがよかったです。
- 日ごろあまり気にしていなかったが、講演を聞いて食事・運動の大切さをあらためて理解しました。