東京都原爆犠牲者追悼のつどい 原爆被害をくり返さない証しを
東京都が主催する2024年度東京都原爆犠牲者追悼のつどいは、今回も葛飾区の後援を受けて、7月21日に157人が参列して開かれました。会場は、テクノプラザかつしかの大ホール。一般社団法人東友会が実施主体となっていますが、近年の企画は、「追悼のつどい」実行委員会が担っています。
「つどい」は、午後1時半から東京都生協連の篠田英子さんの司会で開会。黙祷のあと小池百合子東京都知事は「原爆の記憶を人類共通の課題として次世代に語り継いでいくことは、今を生きる私たちの重要な使命。国際社会の先行きが見えず厳しい今こそ、改めて平和追求の努力を重ねなければならない」と式辞を述べました。
つづく「追悼のことば」は家島昌志代表理事が「被爆者が願った核兵器禁止条約が発効したが、唯一の戦争被爆国である日本政府がこの条約に背を向けていることは納得できない。ぜひとも認識を改めて欲しい」と述べ、宇田川聡史都議会議長、山本雅英広島市東京事務所長と渡辺清英長崎市東京事務所長が両市市長のメッセージを代読。青木克德葛飾区長が「ことば」を述べた後、都民・参列者代表として、第五福竜丸平和協会の市田真理事務局長が関わり合いのあった被爆者の生き様を紹介しながら感動的に、「ことば」を述べましました。
その後、参列者は原爆死没者の名前が読み上げられるなか献花をおこない、原爆死没者への「献げることば」を濱住治郎執行理事が述べました。
被爆証言は「一瞬にして奪われた日常」のテーマで、青梅市の木村一茂さんが映像を使っておこないました。1歳9カ月で被爆した木村さんには、被爆当時の記憶はありませんが、父母の克明な記録を元に家族の被爆体験を証言。とりわけ生後1カ月で被爆した弟が、翌年5月に急性症状のため生後10カ月で命を落したことにふれ、「弟はどんな人生を歩んだろうか、私とどんな話をしただろうかと、思わずにはいられない」との思いを語り、感動を呼びました。
慰霊碑に献花 夏空の下、原爆死没者を悼んで
「追悼のつどい」に先立ち、葛飾区青戸平和公園の原爆犠牲慰霊碑前で「献花式」がおこなわれ、34人が参加しました。企画は、東友会と東京都生協連、東京原水協、「おりづるの子」(東京被爆二世・三世の会)で構成する「追悼のつどい」実行委員会。2024年、原爆死没者名簿に新たに354人が追記され、総数は9179人になりました。
おりづるの子の於保啓子さんの司会ではじまり、全員で黙祷を捧げたあと、中西俊雄執行理事が慰霊碑建立の経過を説明。広島派遣遺族代表の木村一茂さんと都民代表の東京都生協連の秋山純専務理事が献花をおこないました。
東京の慰霊碑は1965年、品川・東海寺に木碑を建立したのが最初。石碑になった1967年から2010年までは同寺で、慰霊碑の移転工事にあたった2011年は四谷のプラザエフ(主婦会館)で、青戸平和公園に移転が完了した2012年は除幕式を兼ねて10月に慰霊碑前で、東友会が主催して「追悼のつどい」を開いてきました。2013年からは東京都主催となり、屋内の会場での開催になりました。このため東友会は慰霊碑前で「献花式」をおこなっています。
「追悼のつどい」「慰霊碑献花式」にご参列いただいた方がた(敬称略・順不同)
2024年度の「追悼のつどい」と「慰霊碑献花式」には、国・都・区の議員、自治体関係者をはじめ、各界から多くの方がたにご参列をたまわりました。紙幅の都合で、遺族・被爆者以外の来賓を掲載し、お礼に代えさせていただきます。 なお、実行委員会構成団体の東京都生協連、東京原水協、おりづるの子、東友会の方がた、主催者である東京都保健医療局の職員の方がたは、割愛させていただきました。ご容赦ください。
小池百合子(東京都知事)、宇田川聡史(都議会議長)、くしぶち万里(衆議院議員・れいわ)、塩村あやか(参議院議員・立憲民主)、塩田博昭(参議院議員・公明)、石井苗子(参議院議員・維新)、吉良よしこ(参議院議員・共産)、平田みつよし(都議会議員・自民)、青木英太(都議会議員・自民)、保坂まさひろ(都議会議員・ファースト)、北口つよし(都議会議員・公明)、和泉なおみ(都議会議員・共産)、中村ひろし(都議会議員・立憲民主)、米川大二郎(都議会議員・ミライ)、上田令子(都議会議員・無所属)、漢人あきこ(都議会議員・無所属)、岩永やす代(都議会議員・無所属)、山本雅英(広島市東京事務所長)、渡辺清英(長崎市東京事務所長)、河村孝(三鷹市長)、髙森喜美子(台東区議会議長)、芳賀竜朗(豊島区議会議長)、おのせ康裕(目黒区議会議長)、落合勝利(武蔵野市議会議長)、おおつき城一(杉並区議会副議長)、窪田龍一(江戸川区議会副議長)、青木克德(葛飾区長)、伊藤よしのり(葛飾区議会議長)、下山しんいち(葛飾区議会副議長)、小山たつや(葛飾区議会議員・公明)、米山真吾(葛飾区議会議員・区民連合)、中村しんご(葛飾区議会議員・共産)、沼田たか子(葛飾区議会議員・みらい葛飾)、秋本とよえ(葛飾区議会議員・自民)、秋家聡明(葛飾区議会議員・自民)、安西まさのぶ(葛飾区議会議員・自民)、峯岸良至(葛飾区議会議員・自民)、岩田よしかず(葛飾区議会議員・公明)、清水こういち(葛飾区議会議員・公明)、細木まこと(葛飾区議会議員・公明)、山本ひろみ(葛飾区議会議員・公明)、中村けいこ(葛飾区議会議員・区民連合)、片岡ちとせ(葛飾区議会議員・共産)、木村ひでこ(葛飾区議会議員・共産)、三小田准一(葛飾区議会議員・共産)、小川ゆうた(葛飾区議会議員・みらい葛飾)、長谷川豊(葛飾区総務部長)、石渡由美子(東都生協)、渡邉恵作(東都生協)、山本恭子(パルシステム東京)、大井康成(コープみらい)、田中有希子(コープみらい)、向山新(立川相互病院)、赤羽恵(はたがや協立診療所)、内藤雅義(弁護士)、市田真理(第五福竜丸平和協会)、渡辺吉司(東京非核政府の会)、菅野勝祐(葛飾区労連)、井上昭(葛飾原水協)、木村陽治(葛飾原水協)、佐藤学(日本原水協)、佐藤優(一橋大学院)、徳田悠希(一橋大学院)、村上美奈子(立正大学)、太田昌克(一般)
生命もてここに証す 今回は死没家族への思いに焦点
東友会は2024年も「追悼のつどい」に併せて、『生命もてここに証す 2024年度版』(B5判40ページ)を刊行しました。
2024年の特徴は、被爆当時の記憶がない幼年時や胎内被爆者である5人――中伏幸子、濱住治郎、中西俊雄、熊田育郎、綿平敬三の各氏――の証言を初めて掲載したことです。5人それぞれが、家族から体験を聞き、父や母を失った悲惨な体験と父母への思い、その後の苦悩を伝える証言をしており、読んだ人からは感動したとの声が寄せられています。同冊子を希望される方は、東友会まで。