被爆者相談所および法人事務所
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2024年3月末の被爆者データ 被爆者数は減っても原爆被害は減っていない

 厚生労働省が2024年3月末現在の被爆者健康手帳所持者数(被爆者数)や平均年齢、諸手当の受給者数などを発表しました。被爆者数は全国10万6825人となり、1年間で6797人減少、最高時1981年3月末の29%になりました。
 近年は毎年1万人弱減っていましたが、2022年度から広島の黒い雨訴訟の勝利を受けて新しく手帳を受ける人が増え、減少数は年間6000人程度となっています。平均年齢は85.58歳、1年間で0.57歳上昇しました。
 とくに注目しておきたいのは、被爆地周辺の指定された地域にいて「健康診断受診者証」を交付された人びとのことです。「健康診断受診者証」は、第1種(広島、長崎)と、第2種(長崎のみで「長崎被爆体験者」ともよばれる)に分けられています。第2種の人びとは「精神的な被害は受けているが、放射線の影響はない」とされ、被爆者手帳に切り替えることができず、がん検診も精密検査も受けられません。
 現在、広島は爆心地の西北20キロ以上でも一定の病気にかかると「健康診断受診者証」ではなく被爆者手帳が交付されますが、長崎は12キロ以内で被爆していても対象外とされています。表「『健康診断受診者証』所持者数」にある第2種はすべて長崎の人で6323人にのぼります。
 この不均衡な現状は、国が原爆被害者の分断を図る意図的な施策を進めていることによると指摘されています。
 東京都内に住む被爆者をみると、手帳所持者は3557人。最高時の34.5%になりました。東京でも毎年300人程度減っています。東京都保健医療局の調べでは、都内の被爆者の平均年齢は85.3歳となっています。

全国の被爆者数(2024年3月末現在 厚労省調べ)
都道府県・市 被爆者数(人) 前年度(2023年3月末)との比較
前年度被爆者数 1年間の減少数
北海道 185 200 -15
青森 35 36 -1
岩手 13 14 -1
宮城 80 84 -4
秋田 12 13 -1
山形 6 9 -3
福島 44 45 -1
茨城 247 269 -22
栃木 127 133 -6
群馬 77 79 -2
埼玉 1252 1322 -70
千葉 1609 1710 -101
東京 3557 3838 -281
神奈川 2720 2939 -219
新潟 55 59 -4
富山 30 33 -3
石川 45 51 -6
福井 40 40 0
山梨 49 52 -3
長野 82 86 -4
岐阜 224 233 -9
静岡 342 376 -34
愛知 1331 1438 -107
三重 211 229 -18
滋賀 214 226 -12
京都 641 698 -57
大阪 3437 3698 -261
兵庫 2232 2370 -138
奈良 395 419 -24
和歌山 134 144 -10
鳥取 134 151 -17
島根 476 539 -63
岡山 884 938 -54
広島(広島市以外) 13457 14086 -629
山口 1515 1678 -163
徳島 66 70 -4
香川 175 194 -19
愛媛 392 432 -40
高知 69 77 -8
福岡 4311 4576 -265
佐賀 549 604 -55
長崎(長崎市以外) 7062 7722 -660
熊本 592 656 -64
大分 339 388 -49
宮崎 234 253 -19
鹿児島 352 380 -28
沖縄 70 71 -1
広島市 37818 39374 -1556
長崎市 18904 20617 -1713
合計 106825 113649 -6824
「健康診断受診者証」所持者数(2024年3月末)
種別   所持者数(人)
第1種 254
第2種 6323
6577