東京都原爆犠牲者追悼のつどい 戦争・原爆の被害くり返させない

　2022年7月24日、東京都主催「原爆犠牲者追悼のつどい」（葛飾区後援）が、葛飾区のテクノプラザかつしかで開かれ、遺族、被爆者、来賓など150人が参列しました。

　「追悼のつどい」では、最初に参加者全員が黙祷。小池百合子都知事は、式辞で「原爆の記憶を人類共通の記憶として、次世代に継承していくことが、私たちの使命であります」と宣言。続く、東友会の家島昌志代表理事は、日本政府が核兵器禁止条約に背を向け続ける態度に被爆者として納得できないことにふれ、唯一の戦争被爆国としてその認識を改めるよう願うと「追悼のことば」を述べました。
　さらに、三宅しげき都議会議長が、都議会が条例の制定や意見書の提出などで被爆者支援に取り組んできたこととともに、3月の議会でウクライナからのロシア軍の即時撤退と速やかな平和の実現を求める決議を全会一致で可決したことを紹介。広島・長崎両市長のメッセージが紹介された後、葛飾区の青木克德区長から、核兵器廃絶を求めるとの決意をこめた挨拶がありました。
　都民代表として挨拶にたった東京都生協連の村上次郎会長理事は、ロシアのウクライナ侵略に関して「21世紀に改めて思い知らされる戦争の恐ろしさと平和の尊さ、そして核なき世界をめざす願いを原爆犠牲者の皆様とともに心に刻みたい」と述べ、弔意を捧げました。

　参列者の献花は、原爆死没者の名前が読み上げられるなか、小池知事を先頭に厳粛に執りおこなわれました。
　その後、東友会の濱住治郎執行理事が、核兵器使用のリスクが高まる今こそ、原爆犠牲者慰霊碑に刻まれている「『われら生命もて　ここに証す　原爆許すまじ』を胸に、被爆者の願いを訴え続けていくことをお誓い」すると捧げることばを述べました。
　「つどい」の最後「語り継ぐ」では、爆死して顔も覚えていない父、被爆後3年後に胎内被爆した弟の突然の死、5歳のときから生活のために住み込みで働く母と離れ、孤独な人生を送ってきた戦後の苦悩を練馬区の綿平敬三さんが語り、感動を呼びました。
　企画運営は、今回も東京都生協連、東京原水協、「おりづるの子」（東京被爆二世の会）と東友会が参加する実行委員会が担当しました。

慰霊碑への献花式 炎天下で「原爆死」に思いを致しつつ

　7月24日、「追悼のつどい」の開催前に、葛飾区立青戸平和公園にある「原爆犠牲者慰霊碑」への献花式が「追悼のつどい実行委員会」主催でおこなわれました。
　慰霊碑が、葛飾区の支援を受けて同公園内の「非核平和祈念塔」の隣りに設置されたのは、10年前の2012年。慰霊碑が寺院（品川・東海寺）の境内から公立公園に移設できたことから設置の翌年13年から「追悼のつどい」が東京都主催となりました。
　青戸平和公園に集まった51人の参加者は慰霊碑の前で黙祷。東友会の中西俊雄執行理事が、1965年からの東京の被爆者の犠牲者を悼む思いで実施してきた追悼事業と、55年前の慰霊碑建立の経過を報告した後、8月に長崎市平和祈念式典に参列する遺族代表の吉重信さんと東京都生協連の秋山純専務理事が代表して献花をおこないました。
　2021年はオリンピック開催と重なったことから10月におこなわれましたが、2022年は7月下旬の厳しい日差しと猛暑の中での献花式となりました。
　それでも参加者は、「子どもたちが水遊びをしたり、日陰で涼んで談笑している人もいる平和そのものの園内に慰霊碑があることで、死者も和んでいるのでは」、「慰霊碑は東京の広島・長崎ですね。慰霊碑の前に立つと気持ちが引き締まる」などと話し、広島・長崎の日を前に気持ちをあらたにしていました。