NHKが東友会相談所を取材・放送 被爆者の立場で制度運用を
最高裁判決があった2020年2月25日、朝5時台と6時台のニュースでNHKが東友会相談所を報道しました。東友会に関連する映像は、原爆症と認定されている被爆者が全体の5%に過ぎないことをテロップで流し、朝から鳴り続ける2台の電話に対応する相談員の姿を報道。NHKのインタビューを受けた村田未知子相談員は「原爆症認定の条件『放射線起因性』は裁判で広げられてきたが、もうひとつの『要医療性』は、新規の申請と3年ごとの更新ともに、大変に厳しくなっている」「体に何かあるたびに原爆のせいじゃないかと75年も生きてきた被爆者が、経過観察を受けている間も原爆症と認定して償ってほしいと思うのは、当たり前のことだと思う」とコメントしました。
最近1年間で東友会が協力した原爆症認定申請は46人が認定され却下はありませんが、これは東友会に「原爆症と認定されるか」と相談してきた人の3分の1以下です。申請を断念する被爆者の多くは、厚生労働省の審査方針に示された「放射線起因性」の条件を満たしていないと知った場合です。さらに最近の特徴は、がんの手術や放射線治療後の後遺症の治療を受けている、甲状腺機能が正常の範囲になり薬を中断して経過観察をしている、白内障の手術をした後など「要医療性」の問題で申請を諦める被爆者が増えていることです。
医療特別手当を継続するために3年に一度、都道府県が「要医療性」をチェックする「健康状況届」の審査基準が2014年から厳しくなり、それまでの10倍程度の被爆者が医療特別手当を継続できなくなっています。
被爆者3人の原爆症認定申請を却下するとした今回の最高裁判決は、このような政府の方針を後押しするもので、被爆者の実態を無視したものです。