少人数で語り合う被爆体験の継承
東京都生協連と東友会 「被爆の実相とデジタルアーカイブ」体験会

はじめは手探り、おわりは親しく
聞き手の真摯さと被爆者の思いが結び合うとき

 2019年3月6日、東京都生協連が「被爆の実相とデジタルアーカイブ」体験会を東京都生協連会議室で開催しました。
 ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会が「未来につなぐ被爆の記憶のプロジェクト」として進めているもので、被爆者から話を聞き、デジタルアーカイブへ参加者の感想などの登録を体験するものです。東京都生協連からの要請を受けて、東友会は被爆者を派遣しました。
 東友会の木村徳子、田戸サヨ子、中西敏雄、湊武、山本宏、山田玲子の各氏と、 東京都内の生協の平和担当者・組合員理事など26人が参加しました。
 体験会は、事前に参加した被爆者の体験記や戦後の生活史の記録を読み込んだ生協の組合員が3つのグループに分かれ、1グループごとに被爆者2人と交流。広島己斐小学校で被爆した2人の被爆者のテーブルと、他の2つのテーブルは広島・長崎の体験のある被爆者と幼児・乳児期に被爆した人が組で、被爆直後の体験やその後の生活について話し、参加者が質問や感想などを交えて交流しました。
 参加した被爆者は、この体験会にあわせて、少しでも正確に証言し被爆者の願いを伝えたいと、被爆当時の様子を示す写真や絵本、地図を用意したり、事前に東友会と相談して初めて被爆体験記をまとめるなどの用意をし、交流の中で、就職、結婚、出産、育児など人生の節目ごとに被爆者であるための不安に苛まれたことを初めて語る姿もみられました。
 最初は重苦しい雰囲気があるテーブルもありましたが、真剣ななかにも笑顔で交流する場面が増え、予定されていた1時間の交流時間が足りないくらいでした。
 生協の参加者からは、「あの日から被爆者の苦しみは始まってしまったのですね。あの悲惨な状況の中で生き抜くためには、人間の心を失うのは当たり前のことなのに、そのことに今でも後悔しておられる。原爆は被爆者とその家族の人生に大きな傷を残したことがわかりました」「原爆が落とされた当時の様子だけでなく、その後の苦労について聞けました。悲しい思いをする場面があるということは知識としては知っていましたが、体験談をきくことで、初めて原爆被害が自分の事になったような気がしました」「視覚で全体がわかりやすいし、感想を登録できることで一体感が持てると思いました」など感想が寄せられました。

 一人の被爆者が大勢の聞き手に体験を語る講義形式とは違い、少人数のグループで双方向に語り合う機会は新鮮で、今後もこのような企画をもちたいという要望が寄せられています。

少人数ごとにわかれたテーブルで、スライドを見ながら説明を聞く参加者
「デジタルアーカイブ」についての全体説明
テーブルごとに話し合う参加者
顔の見える距離で双方向の会話

ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会 とは

 『特定非営利活動法人 ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会』は、原爆被害の実相と、被爆者が遺してきた証言・記録・資料を収集、保存、普及、活用し、その記憶遺産の継承をめざす事業をおこない、「ふたたび被爆者をつくるな」という願いの実現に寄与することを目的として、2011年12月10日に発足したNPO法人です。
 これまで、全国各地の被爆者が遺した証言や資料などを収集し、被爆者から証言を聞く会、今回のような体験会を開催してきました。
 資料整理やデータ化には、専門家や大学生などが協力しています。

ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会