国連で「核兵器禁止条約」採択 命かけた被爆者の運動が世界に届く
核保有国や日本政府は不参加 条約の内容を活かすのは今後の世論と運動
核兵器を禁止する国際条約が2017年7月7日、国連で122カ国の賛成(反対1、棄権1)で採択されました。「核兵器は残虐で非人道の兵器」とされていながら、国際法では、これまで『合法』とされてきました。それが『違法』と断定されたのです。日本被団協は「歓迎」の声明を出し、この条約が各国で批准され、一日も早く実行されることを期待し、さらなる努力を重ねる決意を明らかにしました。
条約は前文で「核兵器の使用は破滅的結果をもたらす」と明記し、「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)の苦難と損害に留意し」、核兵器の完全廃絶に向けた「国連、国際赤十字」や「ヒバクシャの取り組み」などの努力を高く評価しています。
「ヒバクシャ」の言葉を使った言及は以上の2カ所ですが、第6条では「被害者援助と環境回復」の項を立て、核兵器の使用または実験によって影響を受けた個人に「医療、リハビリテーションおよび心理的な支援をふくめ」て支援を差別なく十分に提供する、それには「社会的、経済的支援もふくまれる」としています。第7条でも「影響を受けた国」「被害者へ援助」を規定しています。
禁止する内容については、核兵器の開発、実験、生産、製造、貯蔵、配備、移転、威嚇をあげています。禁止項目の各国の実施状況は、各国から国連への「申告」を基本とし、検証には国連の機関が当たります。
条約は50カ国が批准したあと90日へた後に発効します。日本政府は、唯一の被爆国でありながら条約交渉会議にも参加せず、採決の時には欠席して票決に参加しませんでした。これには全国の被爆者の怒りの声があがっています。日本被団協と東友会は、日本政府に対して条約への参加と批准を要求することにしています。
核兵器禁止条約の採択を心から歓迎するとともに日本政府の姿勢を問う
一般社団法人東友会代表理事 大岩孝平
「うれしい。これまでの被爆者の努力に、国際社会から大きな花束をいただいたような思いです」
核兵器禁止条約の成立に東京の被爆者の1人はこういってました。
条約には、ヒバクシャの苦しみと被害への留意がのべられ、ヒバクシャがおこなっている努力を国際赤十字など国際機関の活動と同列で評価し、核兵器開発・使用に伴う被害者への影響について、医療、リハビリ、心理的援助、さらに社会的、経済的にも国際的な支援が盛り込まれました。
日本政府はこの条約の制定に反対しました。恥ずかしいことでした。広島・長崎での祈念式典で毎年、内閣総理大臣として「核兵器のない世界に向け、努力を積み重ねてまいります」と誓ってきたことはなんだったのでしょうか。
この禁止条約の発効には、50カ国以上の批准が必要です。
私たちは、これからも核兵器の残虐性、非人道性を国の内外で訴えるとともに、日本政府や核保有国への働きかけを強め、条約の発効と、真に核兵器の廃絶された世界を実現していく努力を重ねてまいりたく思います。