被爆者相談所および法人事務所
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年末のお見舞い訪問 人間のつながりを大切に

営々と続く励まし励まされる活動

 2016年末、52回目となった被爆者に年末見舞金を届ける活動が、都内34区市で234人を対象におこなわれました。これは、原水協が被爆者救援募金として集めた寄付金から毎年届けられているもの。見舞金は、2016年12月11日に東友会と東京原水協が共催した「被爆者に年末見舞金を贈るつどい」で手渡され、東都生協組合員から贈られた編み物とともに届けられました。

 2016年末12月11日、東友会と東京原水協が共催する「被爆者に年末見舞金を贈るつどい」が、平和と労働センターホールで開かれ95人が参加しました(「東友」12月号で既報)。多忙な年の瀬、被爆者地区の会と東京原水協の人たちが手分けして、このお見舞金を東京の被爆者234人に届けました。
 今回で52回目となるこの行動で見舞金を受けた被爆者は1万7665人、見舞金の総額は3263万2000円に上ります。
 訪問の報告が寄せられた中から、2017年1月15日までに届いた8区市の様子を写真とともに掲載します。

並べられた長机に着席する参加者たち
2016年の「見舞金を贈るつどい」

訪問したときの反応や今後の課題

 2017年1月12日に開かれた協議会役員会で、年末見舞い行動についての各地の報告が出されました。
 ほとんどの地区が、見舞金のおかげで1年に一度だけでも訪問できてよかったと評価し、高齢となった被爆者から東都生協の編み物がたいへんに感謝された、広島のもみじ饅頭や長崎カステラを持参した地区では「銀座まで買いにいけなくなって久しい。懐かしい」と喜ばれ、会話がはずんだという報告、高齢被爆者の元気な姿に「訪問した側が励まされた」という声がありました。
 しかし、「あばら屋なので恥ずかしい」という家を訪問して深刻な生活実態に驚いたという声、「人に会いたくない」「自宅に来てほしくない」と訪問を拒否されたり、「来てもらうだけで十分。見舞金は寄付する」という被爆者が増えていること、同行した若い原水協の人からは、「被爆者の体験談が聞きたかった」という声があったことも報告されました。
 訪問する側の被爆者も高齢となり、自分で車を出せずタクシーを利用して届けた地区、被爆者の会が休会になって、原水協の代表だけで訪問した地区も増えました。
 このように状況から、協議会役員会では、半世紀を過ぎた訪問活動を再検討する時期に来ているのではないかという声もありました。
 2月には、訪問した被爆者と原水協の代表の交流会が予定されています。東友会は、この交流会での意見もふまえて、今後年末見舞金の運動をどうすすめていくかを東京原水協との協議で検討していくことにしています。

江東・江友会

 12月25日、二手に分かれて7人の被爆者を訪問。参加したのは江東原水協の3人と江友会の5人でした。
 7人全員が足が不自由で、エレベーターのない住宅に住む人は買い物に困っているとのこと、ヘルパーを家に入れたくないと同居の子どもだけですべての介護をしてがんばっている人、写真や刺繍、書道などの趣味で認知症を予防している元気な人もいて励まされました。(森貞士)

テーブルを囲んで会話する訪問者と訪問先の方
親身に話し合う機会が

港・港友会

 地区被爆者の会創立に関わった人など5人を、港友会3人、原水協2人で12月18日に訪問。みなさん、たいへんに喜んでくれました。
 足腰が弱り手押しカートでやっと歩行している人や、外出できなくなったという人が多く、高齢化を痛感しました。
 リハビリ専門病院に入院していて18日に会えなかった人には、暮れの26日にようやく会えてホッとしました。単身生活で歩行器での生活ではたいへんだろうと思いました。(髙木恭之)

玄関先で、訪問者と訪問先の方の3人。お見舞い金と編み物を手渡している場面
あたたかい編み物も

世田谷同友会

 12月30日に、原水協と世田谷同友会の役員がそろって、3人の被爆者に見舞金を届けました。
 木彫りの趣味を長年され部屋中に木彫りを飾り、はつらつとされている方、92歳でも顔色もよく、若く見える方がいる一方、カゼを引いて歩くのもやっとで、もの忘れが進んでいる様子がわかる方がいました。(杉野信子)

玄関先で、訪問者と訪問先の方の3人。並んでの写真
ひとりずつ様子を尋ねて

足立・足友会

 9人の被爆者を、足友会と原水協の11人が手分けして12月23日、24日、27日に訪ねました。
 東友会と足友会の結成に参加した93歳の男性は入院先を訪ね、とても喜ばれました。92歳の女性は終始笑顔でヒバクシャ国際署名も自力で記入。糖尿病で片足を切断しながら会社経営をしている人、長崎で被爆し5歳で孤児になり苦労して生きてきた人のお話も聞けました。(藤澤汎子)

訪問者と訪問先の方の4人。笑顔で座っておられる方の後ろに3人が笑顔で並んでいる
笑顔で語らうひととき

被爆者練馬の会

 12月21日、22日、24日に5人の被爆者を原水協と被爆者の会3人で訪問。どなたにも、とても喜んでいただき、思い出話に花がさき、時間が足りなくなる人もいました。
 冷え込むと手術した膝が痛む人、認知症がすすみ施設に入った人、介護付き高齢者住宅に転居した人もいました。闘病中の人を選んで見舞金を届けましたが、ふさぎ込んでいる人はなく、訪問した私たちが逆に励まされました。(綿平敬三)

訪問先のお宅でお見舞い金を手渡す訪問者と受け取る方。
よく来てくれたと歓迎され

武蔵野けやき会

 12月19日、けやき会の2人と原水協の2人で訪問し、3人の方がたに見舞金を届けました。
 施設に入居している女性は、被爆した長崎のことなどを懐かしみながら話してくれましたが、訪ねる人はまれのようで、別れるとき名残惜しそうでした。
 認知症が進んでいて、話はままならない人、毎年楽しく語り合える人もいて、よいコミュニケーションの場になりました。(梅岡功)

施設内、椅子に座る方に編み物を手渡した訪問者、並んでの写真
施設を訪ねてお見舞い

北区

 2015年に被爆者の会が休会した北区では、12月21日に102歳から86歳までの5人の被爆者を原水協の3人が訪問しました。
 102歳の男性は退院してきたばかりで会えず、息子さんが対応しましたが、介護が大変とのこと、診察に行くことができなくなり往診をうけている人、2015年暮れに転倒して顔にケガしたと話していた人も元気で、安心しました。
 デイサービスに行っている人はこの日に会えなかったので、後日にうかがいました。(柴田桂馬)

訪問先のお宅でお見舞い金を手渡す訪問者と受け取る方。
一件ずつ原水協の人が訪問

板橋区

 被爆者の会が2016年4月から休会したため、原水協の代表2人が4人の被爆者を訪ねました。
 12月21日に訪ねた3人のうち2人は72歳でしたが、顔にヤケドの跡がある人、施設に入っている人で、若年被爆者に被爆の影響が強いのではないかと思いました。
 22日に訪ねた88歳の女性は、建物疎開の集合に遅れて命拾いした体験を聞かせてくれました。(大塚信)

訪問先のお宅でお見舞い金を手渡す訪問者と受け取る方。
お見舞金を手渡す