被爆者・二世の健診拡充 被爆者は胃カメラ 二世は悪性腫瘍検査
2016年4月から被爆者の胃がん検診に胃内視鏡(胃カメラ)検査が追加されることになりました。2016年1月19日から20日に厚生労働省内で開かれた、平成27年度全国厚生労働省関係部局長会議で、被爆者施策を担当する健康局が平成28年度の原爆被爆者対策予算(案)のポイントとして各都道府県に説明したもの。
内容は、被爆者のがん検診のうちの胃がん検診を、従来の胃レントゲン検査だけでなく胃カメラ検査を選べるようになり、口だけでなく鼻からの検査も認めるというものです。厚労省健康局は、「平成28年度から、市町村が実施するがん検診に胃内視鏡(胃カメラ)検査の追加が予定されていることを踏まえ、被爆者健診にも胃内視鏡を追加予定」と発表しています。
胃カメラの検査は、「被曝しない」「胃の手術を受けた人も受けられる」「下剤を使わないので検査後が楽」などの理由で、高齢となった被爆者からの要望が多く、東友会は長年、東京都とともに国に要望を出していました。胃カメラを受けられる病院などの通知については、東京都が準備をはじめています。
多発性骨髄腫の検査 二世の検査項目に
この会議では、被爆二世の健康診断に多発性骨髄腫の検査が追加されることも発表されました。
東京都と静岡県に住む被爆二世は、被爆者と同じがん検診(男性:胃、肺、大腸、多発性骨髄腫 女性:男性の4種と乳、子宮)が年1回受けられます。しかし国の施策としては被爆二世のがん検診は実施されてきませんでした。
健康局は「市町村が実施できるがん検診ではできない多発性骨髄腫検査を追加予定」と発表していますが、これは、被爆二世の施策に、放射線との因果関係があると言われている悪性腫瘍の検査を初めて国が追加したという点から注目できます。
在外被爆者向け 医療費助成も選択可
海外に住む被爆者の医療費助成の変更についても発表されました。これまで、海外に住む被爆者と支援者の運動によって、年間30万円までの医療費が支給されてきました。
しかし在外被爆者の差別撤廃の裁判が続き、2015年9月、最高裁でも敗訴した国は、2016年1月から「日本の診療報酬の例により算定し、支給」を選択できるとしました。