東友会「原爆症認定訴訟・みんなで学ぶ会」ひらく
国家補償、非ガン疾患、政治の動きなど
東友会は2013年3月17日、「原爆症認定訴訟・みんなで学ぶ会」を平和と労働センターで開き、原告・被爆者、弁護士、支援者75人が参加しました。
被爆者の願いとは
学ぶ会の最初に山本英典業務執行理事(前集団訴訟東京原告団長)が、「被爆者が願う原爆症認定制度について」と題して、現在の原爆症認定制度が崩壊していること、厚生労働省の原爆症認定制度の在り方に関する検討会に日本被団協が出した「提言」は、国家補償的配慮に基づく対策として、被爆者全員に「被爆者手当」を支給するよう求めていることを説明しまた。

認定運動の全体像
次に、「原爆症認定制度の問題点とその改定――原爆症認定集団訴訟で勝ち取ったもの」のテーマで弁護団の竹内英一郎弁護士が講演。原爆症認定制度の内容と集団訴訟の前にたたかわれた長崎原爆松谷訴訟、東京の東原爆裁判などの成果とともに、裁判所の判断を無視し続けてきた国の姿勢に抗して、「積極認定」する被爆状況の範囲を「3.5キロ直接被爆、100時間以内入市」まで広げた運動の成果を紹介しました。

現在の裁判について
東友会は原爆症の認定を求めて現在東京地裁で個別に裁判を起こしている21人の被爆者を支援しています。この訴訟の争点と内容については田部知江子弁護士が担当。
田部弁護士は、指定された病名であっても、ガン以外は心筋梗塞や肝機能障害が1.5キロ以内の直接被爆、甲状腺機能低下症も1.8キロ程度以内の直接被爆者しか認定されていないこと、ガンであっても100メートル遠いだけで却下されていることや、裁判の日程について説明しました。

立法・行政の動き
最後に、金井知明弁護士が厚労省の在り方検討会の動きと政治状況について、経過と問題点を、くわしい資料を配付して、わかりやすく説明。2013年8月頃には何らかの報告書がまとめられる可能性が大きいこと、自民党が「原子爆弾被爆者の救済を求める議員連盟」を設立していることなどを報告。裁判の傍聴とともに、これからの運動が重要と強調しました。

活発な質疑応答も
その後、東友会の村田未知子事務局主任が、参加した16人の原告を、弁護団事務局長の中川重徳弁護士が、参加した11人の弁護士を紹介しました。
質疑応答では、フクシマ原発事故と関連した内部被曝の問題と今後の政治的な動きについての質問がつづき、弁護団長の内藤雅義弁護士、全国弁護団連絡会事務局長の宮原哲朗弁護士が回答しました。
原爆症認定申請を検討している被爆者からは、現在の症状が原爆症と認められるかという質問が発言でも感想文でも寄せられ、「学者による検討会より政治を動かしたほうがより効果的だと感じた」「弁護団の方がたの献身的な姿に強くこころを打たれた」という声も寄せられました。
