被爆者相談所および法人事務所
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被爆者援護法改正めざす学習会(第3回) 3回の講座で理念深める

根底に「戦争の被害者みんなへの補償」

 現行原爆被爆者援護法の改正をめざす東友会の第3回連続学習会が2010年9月16日、平和と労働センターで67人が参加して開かれました。講師は日本被団協の田中煕巳事務局長。田中氏は、現行法の前文にある「受忍」論の核心の文言を被爆の実態と被爆者の要求で書き換えることで、現行法を国家補償の法律に変えたいと前置きして、「現行法改正についての田中私案」を発表しました。

改正要求のポイントは?

 前文には、「放射能に起因する健康被害」とあるが、原爆被害は「爆風、熱線、放射線が引き起こした被害」であり、それは「全人間的な被害である」、この「被害をもたらした戦争を遂行した国の責任」と「死没者に対する償い」と、「原爆被害の惨禍をふたたびくり返さない決意」を銘記した文言に変えたいという提案をしました。
 条文についても、医療の給付と一般疾病医療費の支給との違い、被爆者手当を全被爆者に支給することの意義、政令で疾病を定め、認定手続きを経ることなく認定を受けられるようにすること、被爆者手当には医療加算するなどを提案したいとも述べました。
 日本被団協は、10月4日までに各地から提案してもらい、10月14日に現行法改正検討委員会で集約して、10月21日からの全国都道府県代表者会議に提案する予定。

活発な質疑、意義の確認も

 田中私案に対して、「現行法の前文は原爆被害への受忍を求める官僚の意思でつくられたもの」とか、「アメリカの原爆投下責任に触れていない」とか、「被爆者の子を位置づけたい」など、活発な質問、意見が交わされました。
 参加者は、東京の被爆者だけでなく、新潟、神奈川、千葉、静岡の各県の被爆者と支援者、日本原水協と千葉県民医連、東京大空襲の原告、マスコミもいました。
 最後に、参加者の一人が「3回連続して学習して、被爆者が国家補償を要求して運動してきたのは、被爆者だけへの補償ではなく、戦争の被害者みんなへの補償を求めるのだとわかった。私も今日を出発点にがんばろうと思う」と発言、参加者から強い拍手を受け、これが締めの言葉となりました。

並べられた机に着席し、壇上からの講師の話を聞く参加者たち。
連続講座の最終回。被爆者以外の参加者もあり、活発な質疑応答がおこなわれました。
講師の田中煕巳さん