被爆者相談所および法人事務所
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原爆症集団訴訟 「基金法」成立 敗訴原告の救済措置が一歩前進

 原爆症認定訴訟で、敗訴原告を救済することを主目的とする「基金法」が2009年12月1日、国会で成立、2010年4月1日から施行されることになりました。法の名称は「原爆症集団訴訟の原告に係る問題解決のための基金に対する補助に関する法律」という長いものですが、本体は4条、付則2項の短いものです。
 「基金法」は、2010年8月6日に日本被団協代表と当時の麻生太郎総理大臣・自民党総裁との間で調印された「確認書」を具体化するものです。
 (1)原告の問題を解決するため、(2)社団法人をつくり、(3)支援事業を行う、(4)政府はこの事業に3億円を補助する、(5)原告とは集団訴訟を提訴した306人で、このうち勝訴および認定された人をのぞく、敗訴した人びとを主な対象とする、(6)現行認定制度に検討を加える、(7)原爆症認定については今後訴訟で争うのではなく、厚生労働大臣をふくめた協議で解決をはかるという内容を含んでいます。
 対象となる敗訴者が何人になるかは、2年後とみられる東京第3次訴訟の判決いかんに関わります。

並べられた椅子に座る参加者たち。
国会審議を見守る被爆者ら

「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」の成立にあたっての声明

2009年12月1日
日本原水爆被害者団体協議会
原爆症認定集団訴訟全国原告団
原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会

 本日「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」が、衆議院本会議において全会一致可決成立しました。
 本法律は、2009年8月6日、日本原水爆被害者団体協議会と麻生内閣総理大臣・自由民主党総裁との間で締結された、「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」に基づくものであり、6年半以上にわたって争われた原爆症認定集団訴訟の終結に向けて、ようやく目途がつこうとしていることを喜びとするものです。これは、原爆症認定集団訴訟の相次ぐ勝利を勝ち取ってきた運動の成果であり、この間実現のためにご尽力いただいた関係者に心から感謝いたします。

 しかし、「確認書」にある厚生労働大臣と私たちの定期協議は、未だ開かれていません。早急に開催をして、8000件とも言われている原爆症認定申請の滞留問題、原爆被害の実態に沿った原爆症認定制度への改善など、解決しなければならない諸課題の協議に入りたいと思います。
 また、「訴訟解決は1審判決で」という合意に基づき、今後も7地裁で裁判がつづきます。これら裁判で原告の疾病が原爆症と認められるよう引き続き力を尽くします。
 さらに、私たちは、原爆症認定集団訴訟運動の成果を、原告でない被爆者のものとするために、改善点の普及と活用をはかります。

 被爆者が願って止まない核兵器の廃絶のためには、核兵器被害の事実・実態をさらに一層広めることが必要です。
 核兵器廃絶のために、原爆症認定集団訴訟のなかで明らかにされた原爆被害の実態を国の内外に知らせます。
 あわせて原爆被害を過小に評価し、核兵器の存在とその使用さえ容認してきた、政府の核政策の転換を求め、今後とも核兵器のない世界を望む国民の皆さんとともに頑張ることを改めて表明するものです。

以上