東友会医療講演会 被爆者に起きやすい甲状腺の病気は?
懇切・ていねいな園田医師のお話 参加者からの質問も活発に
東友会は2008年10月26日、東友会顧問医・園田久子医師を講師に迎えて、2008年度第1回の医療講演会を新宿農協会館で開き、65人が参加しました。テーマは、「被爆者に起きやすい甲状腺の病気」。厚生労働省は4月から原爆症認定で「積極的に認定する」とした病名の中に「副甲状腺機能亢進症」という病気を入れました。被爆者に甲状腺の病気で苦しむ人が多いことから、「副甲状腺」を「甲状腺」と勘違いして申請する人が増えているため、その違いも学ぶことにしました。
園田医師は、分かりやすい図を使ったレジュメをもとに、甲状腺が身体のどこにあるか、その構造、機能としくみから甲状腺機能亢進症、低下症、橋本病といわれる慢性甲状腺炎、甲状腺腫などの病気について、ていねいに説明。原爆症認定集団訴訟で、ほとんどの裁判所が原爆症と認めている甲状腺機能異常を「新しい審査の方針」の「積極認定」から除外している厚生労働省の姿勢を批判。原爆症認定の指定病名になっている「副甲状腺機能亢進症」は「高カルシウム血症」とも言われ、血液の中のカルシウムが異常に増えるめずらしい病気であること、一般的にいわれる「甲状腺機能亢進」やバセドウ病とはまったく違う病気であることも説明しました。
参加者からは、「甲状腺ガン手術した後、甲状腺ホルモン剤をずっと飲んでいる。被爆距離は『積極認定』の範囲に入るが原爆症の申請した方がいいか」から、「政府は心筋梗塞を『積極認定』の指定病名に入れている。私は狭心症で原爆症認定を出している。どう違うのか」などの質問が出されました。
園田医師は、「原爆症認定には、『要医療性』という条件も求められるので、手術後5年以上がすぎて再発していないガンは、現状では裁判で勝った被爆者しか認定されていない」ことなどについても、懇切・ていねいに回答していました。