被爆者援護条例30年 施策の充実を 東友会と東京都との懇談会
東京都と東友会との懇談会が2005年1月19日に開かれました。懇談会は1992年に当時の衛生局と懇談してから2005年は12年目ですが「福祉保健局」となって初めて。都側から丸山浩一保健政策部長、田原なるみ疾病対策課長、青木恵子被爆者援護係長など6人、東友会からは26区市の代表56人が参加しました。
開会にあたって丸山部長は、東京都の新しい機構の説明とともに「意見交換と情報を共有できる懇談の場に感謝している」とあいさつ。青木係長から、多摩地区での保健所の改編と2004年10月にさかのぼって実施される在外被爆者の医療助成制度などについてのくわしい説明がありました。
東友会からは、藤平典会長のあいさつ、出席者の紹介の後、西野稔事務局次長が広島の爆心地から2キロの屋外で原爆を受け、上半身の大火傷を受けた被害と、急性原爆症と火傷から奇跡的に生き残った体験を証言し、感動をよびました。 つづいて、被爆者健康診断の充実については山田玲子事務局次長が、被爆二世への施策の充実については的早克眞相談員、介護保険制度の啓蒙と被爆者の助成について村田未知子事務局主任が、それぞれ被爆者や被爆二世からの相談事例をあげながら要請しました。
被爆60年となる2005年は、県レベルでは全国唯一の被爆者援護都条例の施行から30年になります。この施策についての調査の実施については山本英典事務局長が、東友会への委託事業費については、飯田マリ子副会長が要請しました。
この要請に対して、田原課長は、健康診断については「都議会が国に意見書を出している。局も要望する」「介護保険での被爆者への助成の啓蒙には、東友会の『常緑樹』を都内3500の関係施設に送る」などの回答がありました。
東京都に要請した項目
- 被爆者健康診断・ガン検診の充実のために検査項目の追加
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- 腹部超音波検査
- 血液生化学検査 HDLコレステロール、ヘモグロビンA1c、中性脂肪、ガンマGTP、尿素窒素、総タンパク、クレアチニン
- 末梢血液一般検査 ヘマトクリット、血小板
- 胃ガン検診 レントゲンか胃内視鏡かの選択
- ガンマーカー 血清ペプシノゲン検査、CEAなど
- 骨粗鬆症検診
- 肝炎ウイルス検査
- 歯科検診
- 被爆二世への施策
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- 被爆者と同じ内容での被爆二世の健康診断の実施
- 東京都が被爆二世の実施しているガン検診と医療費助成の実施
- 医療費助成の「6カ月以上の医療を必要とするとき」「最長1年」という条件を廃止し、更新期限を被爆者の健康管理手当なみに
- 医療費支給を認定された病気の発症時までの遡及
- 介護保険制度の啓蒙
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- 都内の介護保険施設に被爆者援護法の助成制度の啓蒙を
- 国の「介護保険制度の改革」によって予想される負担増への助成を
- 被爆60年に関する要請
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- 広島・長崎の式典参列での欠員を東京の枠分として確保を
- 被爆者援護都条例施行から30年の成果を確認し、東京に生きた被爆者の記録を残す目的での実態調査の実施。被爆二世に対する施策についての調査の実施
- 委託事業費を実態にみあった支給を
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- 支給されている委託事業費の総額支給と出張相談会と医療講演会1回分の開催費(未支給分)