「医療制度改革」で被爆者にも負担が
手帳使えない保険外負担 家族の「痛み」はズシンと深刻
2002年4月9日に開かれた東友会第10回常任理事会は、政府の「医療制度改革」に反対する運動に参加することを決めました。「医療制度改革」は、下記のように、2003年4月から3歳から69歳の人の医療費の自己負担をすべて3割に、70歳以上の人の自己負担も1割か2割にしようとするものです。
医療改定の主な内容
- 2002年4月実施
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- 70歳以上の人の増額
- 診療所 1回800円を850円に(月4回)
病院 月3000円を3200円に
大病院 月5000円を5300円に
- 2002年10月実施
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- 70歳以上の全員1割負担に。定額制(1回850円月4回まで負担)は廃止
- 70歳以上の高所得者(単身で年収380万円程度以上)の人は2割負担に
- 高齢者、現役とも自己負担限度額を引き上げ
- 2003年4月実施
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- サラリーマンや退職者本人と家族(入院)の患者負担を引き上げ、3歳から69歳の人は3割負担に
- ボーナスからも月収と同じ割合で保険料をとる「総報酬制」を導入
このねらいのなかで、今月、史上初めて診療報酬(健康保険で受けられる医療の範囲を決めたもの。医療機関に払われる金額)が引き下げられました。診療報酬が下がり患者の負担も低くなるはずですが、先日、こんな電話が入りました。
「週3日人工透析を受けています。4月から、食事代の1000円を払うことになるそうで、月1万2000円になります。被爆者手帳を使えませんか」。
いままで外来で4時間以上にわたる透析を受ける患者は、健康保険に食事代がふくまれました。透析患者の治療には特別な食事が必要なため、医療費として食事代が給付されていたのです。これが4月から保険から除かれ、患者の負担にするか、病院側の持ち出しにするかになったのです。このため、この人は、被爆者手帳も使えず自己負担しなければならない、という事態になったのです。
「医療制度改革」で政府は、自己負担分の引き上げだけでなく、健康保険の範囲であったものを次つぎに保険外にしようとしています。長期入院患者の入院料の大幅な自己負担もその一例です。
常任理事会では、「『三方一両損』という小泉内閣の改革案は、政府の責任を棚上げして、患者、医療機関、国民だけに痛みを押しつけるものだ」「被爆者は手帳があっても、保険外が増えるとダメだ」「家族はたいへんな事態になる」などの声が出されました。