予算要望ヒアリング(聴き取り) 都議会各会派と順次懇談
友好的な雰囲気のなか被爆者の願いを訴え
東友会は毎年夏から秋にかけて、複数の議員が所属している都議会各会派からの依頼に応えて、次年度の予算要望に関するヒアリングで要請をおこなっています。2023年は、都民ファーストの会、公明党、立憲民主党とは8月29日に、新しい会派ミライ会議とは9月7日に面談して要請。共産党とは10月10日を予定しています。自民党は近年書面のみを提出するよう要請されていますので、8月29日に10人の参加者で書類を届けました。
8月29日は午前11時に最初の会派、午後5時過ぎまでに3会派によるヒアリングとなりました。会派に要請する時間は、このうち75分間。待ち時間が7時間を超えて1日がかりの、高齢被爆者にはたいへんな要請になりました。
要請に参加したのは11人。家島昌志代表理事、中西俊雄、濱住治郞、湊武、村田未知子執行理事と綿平敬三理事、被爆二世の澤原義明理事、会員の木村一茂氏(青梅)、久保田朋子氏(杉並)、山下和宏氏(足立)、山本宏氏(江戸川)でした。
要請では中西執行理事が司会を担当し、挨拶を家島代表が、委託費については濱住執行理事、被爆者と被爆二世の健康診断は村田執行理事、被爆体験の保存については湊執行理事が説明。回答の時間の後に、参加者と地元の都議が親しく会話する場面が見られました。
公明党
トップの要請は公明党。中山信行幹事長代理(足立区選出)、斉藤やすひろ都議(目黒区選出)、かつまたさとし都議(大田区選出)の3人の都議が25分間対応。被爆者の人数が減っているが、委託事業費の必要性については、丁寧に見ていかなければならないとの励ましがありました。
都民ファーストの会
都民ファーストの会は森村隆行議員団長(青梅市選出)、小山くにひこ顧問(府中市選出)、たきぐち学幹事長(荒川区選出)、福島りえこ政調会長代行(世田谷区選出)、関野たかなり副政調会長(北多摩第1選出)、伊藤ゆう都議(目黒区選出)、清水やすこ都議(西多摩選出)の7人の議員が30分間対応。広島・長崎に行かないと原爆被害の展示を見られないことは検討の必要があるとの発言がありました。
立憲民主党
この日最後の立憲民主党は20分間という時間でしたが、西沢けいた幹事長(中野区選出)、関口堅太郎政調副会長(杉並区選出)、山口拓総務会長(世田谷区選出)、阿部裕美子都議(品川区選出)、斉藤りえ都議(大田区選出)、竹井ようこ都議(小平市選出)、中村ひろし都議(三鷹市選出)の7人の議員が対応。被爆体験継承の重要性についての話が深まりました。
ミライ会議
新しい会派・ミライ会議への要請は、9月7日に家島代表、中西、濱住、湊、村田執行理事、綿平理事と会員の木村氏、山下氏、山本氏の9人が参加しました。
米川大二郎幹事(葛飾区選出)、もり愛都議(大田区選出)、田の上いくこ都議(江戸川区選出)、桐山ひとみ都議(西東京市選出)の全議員が30分間対応。「追悼のつどい」の継続や被爆の実相普及のための体験集の保管について意見交換をしました。
各会派ヒアリング 東友会が要望した重点項目
来年度予算への重点要望は次のとおりです。
東友会への委託事業費
東京都の健康指導委託事業費が現状どおり支給されるよう要望。
今夏も被爆者が孤独死した事例が複数あった。被爆者が高齢となり、東友会に寄せられる相談は、ますます深刻化し、対応に手間がかかる事例が増えている。被爆による差別や遺伝への不安から家族を持たなかった者が多い。平均年齢85歳となった被爆者の相談事業が継続できるよう、委託費の支給を要請する。
被爆者と被爆者の子(被爆二世)の健康診断の項目追加
東京都被爆者援護条例の主旨を生かし、現在の健康診断では常識になっている以下の項目を被爆者健診と被爆者の子の健診への追加を要請。
- TSH(甲状腺機能低下症関連)
- 血中カルシウム検査(副甲状腺機能亢進症関連)
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
- 中性脂肪
現在は中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、またはnonHDLコレステロール(総コレステロールからHDLコレステロールを除いた値)が一般的。人間ドック学会も現在はnonHDLコレステロールのみを使用している - 腹部超音波検査(エコー)
放射線被曝なく安価な検査である。人間ドック学会2020年度がん検診結果集計によると上腹部超音波がん検診の受診者約158万人中、肺がんが656例発見された。これは、胸部レントゲンによる肺がん発見率の2倍と報告されている。
予算要望ヒアリングとは
東京都の次年度予算編成にあたり、都民の要望、現場の実態などに耳を傾け、都民の声を反映した公平な予算にする目的で、都議会の各会派が開いているものです。
東友会は、東京都の被爆者団体として被爆者の実情や要望を伝えることに加え、相談事業に東京都から委託費を受けていることもあり、毎年この時期に都議会各会派のヒアリングが実施されています。そのおり、被爆者・二世の要望を率直に申し述べ、各会派の都議のみなさんと忌憚のない意見交換をしています。