被爆者相談所および法人事務所
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原爆症の認定申請とその更新 東友会の対応状況

高齢被爆者に対し国から厳しい要求が増加

 東友会は現在、原爆症認定に関した被爆者の電子カルテを992人分保管しています。申請時期は1970年11月から2021年4月末まで。うち517人が亡くなり、44人が都外に転出しています。申請者には、海外を含めた都外に住む被爆者もいます。1人で複数回申請する場合があり、電子カルテにある申請件数は1068件です。

認定申請の全体傾向

 東友会は、紙のカルテと併用して、原爆症認定申請と3年毎の健康状況届の相談に対応してきました。このうち認定された件数は879件。うち1人は4回認定され、複数の病名で認定された人が76人登録されています。却下された後に裁判で認定を勝ち取った事例も認定件数に含んでいます。
 一方、却下は154件です。却下件数が少ないのは、原爆症認定制度を知らない被爆者がまだ多いこと、申請を考えても審査基準を知って断念する人があり、結局認められる可能性が高い人が申請するケースが多いためです。東友会に相談が寄せられても、明らかに指定病名以外で申請したいという場合は、認定されないことを説明することもあります。2021年5月現在、厚生労働省で審査が進められているのは35件です。

執拗に医学的所見を要求

 東友会は原爆症認定申請について担当相談員を決めて対応してきました。東友会が2020年4月から2021年3月までの2020年度に対応した原爆症認定申請は33件でした。

東友会が対応した原爆症認定の申請件数(直近5年間の推移)
年度 2016 2017 2018 2019 2020
件数 33 48 36 47 33
  • その年度内に認定申請を出した件数。
  • これまでの最高は「原爆症認定集団訴訟」が終結した2009年度の94件。

 申請に対する厚労省からの照会は、2020年度も続いています。手術前の検査でがんと確定診断された検査結果を出しているにもかかわらず、手術後の検査票を求められたり、がん以外の疾患では治療状況を出しているにもかかわらず、追加の照会がくるという事例が増えています。2020年度に原爆症認定の審査結果が届いた被爆者は44人でした。うち認定されたのは40人で、4人が却下されました。
 却下理由は、原爆放射線との因果関係が認められないという「放射線起因性」が3人(被爆距離3.5キロ以遠1人、悪性腫瘍が否定された2人)と、がんの手術後に受診をしていなかったことが「要医療性」がないと判断された1人でした。
 申請を却下され審査請求を出していた被爆者も認められませんでした。この事例では、厚労省から甲状腺機能低下症と診断されたときの資料を出すよう求められましたが、治療を受けている期間が長いため、当時の資料が病院に保管されていなかったためです。

東友会が対応した原爆症認定申請の結果(直近5年間の推移)
年度 2016 2017 2018 2019 2020
認定件数 33 46 27 41 40
却下件数 3 3 2 0 4
合計 36 49 29 41 44
  • その年度内に厚労省が結果を出した件数。申請の翌年度に結果が出た件数も含むため、表「東友会が対応した原爆症認定の申請件数」の値とは一致しない。
  • 2018年度までには、「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」の勝訴判決後の認定を含む。

「要医療性」の判断厳しく

 「医療特別手当」を受けている被爆者は3年に一度、認定された病気について「要医療性」の審査を受けて手当を更新するよう求められます。この手続きが「健康状況届」です。毎年3月末から5月末のほぼ2カ月間に、その年が更新にあたる人に「健康状況届」の提出が求められます。「要医療性」が引き続き認められるのは、治療や経過観察が続いている場合、認定された病気の後遺症がある場合などです。
 認定疾病ががんの場合は、経過観察が続いていても再発していないときは、治療が終わった後5年(一部は10年)が過ぎると「要医療性」は認められません。2014年度から基準が改定され、「要医療性」が認められず、「医療特別手当」から「特別手当」に切り替えられる被爆者は二桁台が続いています。

医療特別手当の健康状況届の件数と東友会の対応状況(直近5年間の推移)
年度 2016 2017 2018 2019 2020
東京都全体の更新対象者 99(100.0%) 134(100.0%) 95(100.0%) 73(100.0%) 124(100.0%)
東友会対応の対象者 86(86.9%) 100(74.6%) 83(83.0%) 56(76.7%) 99(79.8%)
認定数(「医療特別手当」継続) 74(74.7%) 105(78.4%) 79(83.2%) 61(83.6%) 101(81.5%)
非認定数(「特別手当」に切替) 25(25.3%) 29(21.6%) 14(14.7%) 11(15.1%) 13(10.5%)
  • 各項カッコ内のパーセント表記は、東京都全体の更新対象者に対する割合(小数第2位を四捨五入)
  • 2013年度の更新対象者88人中、非認定は2人(2.3%)。
  • 2014年度から国が「要医療性」の基準を見直したため非認定が増加。
  • 2020年度の非認定13人は、全員がコロナ禍のため1年自動延長(うち東友会対応は12人)。
  • 認定数と非認定数の合計が更新対象者数と一致しないのは、健康状況届の未提出者などがいるため。

実情に見合う援助をもっと

 都内で「健康状況届」の対象になる被爆者のほぼ8割が最初に東友会を通じて原爆症認定申請を出した被爆者です。このため東友会は毎年、東京都に名簿の照合をお願いして、高齢被爆者の申請を援助しています。