被爆者相談所および法人事務所
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【解説】被爆者の手当受給 10年間の推移

医療特別手当の受給率は増加、4種手当の受給率は横ばい

 東友会原爆被爆者相談所が、東京に住む被爆者の10年間(2006年度から2015年度)の諸手当受給状況を整理しました。
 下に掲載した表から読み取れる第1の特徴は、被爆者手帳所持者が10年前の70%に、実数で2361人減ったことです。東京の手帳所持者の最高時である1988年3月末の1万365人からみると56%になっています。
 第2は、原爆症と認定された被爆者が対象となる「医療特別手当」が、実数で3.6倍に、原爆症に認定された病気が治った人が受ける「特別手当」が実数で2.8倍になっていることです。これは、東友会をはじめとする全国の被爆者が弁護士と医師の支援を受け、多くの市民の理解を得てすすめてきた原爆症認定集団訴訟の成果といえます。
 しかし、「医療特別手当」の基準のひとつ「要医療性」の判定が厳しくなりました。2015年度末から、「特別手当」に切り替えとなる被爆者が増えたのはこの影響です。

制度の周知と活用をもっと

 第3は、併給できない4種手当(一覧表の下、「注意」参照)のいずれかを受けている被爆者が、5年間つづけて85%台で横ばいを続けていることです。
 全国的には90%以上の被爆者が4種手当のいずれかを受けています。東京という大都市に住み、近隣との交流が少ないという難しさがありますが、高齢化がすすむ被爆者に制度とその活用を知らせることが、ますます重要になっています。
 爆心地から2キロメートルメートル以内で直接被爆した場合に病気の有無に関係なく受けられる「保健手当」は、受給者が58%に減っています。これは、「医療特別手当」や「健康管理手当」への切り替えが進んでいるためです

東京在住被爆者の諸手当受給者数 10年間の推移
(厚生労働省資料をもとに東友会でまとめ)
被爆者手帳所持者 受給者数と受給率(%)
医療特別手当 特別手当 健康管理手当 保健手当 4種手当合計
2016年3月末 5,758人 356人 54人 4,262人 249人 4,921人
6.18% 0.94% 74.02% 4.32% 85.46%
2015年3月末 6,010人 373人 45人 4,473人 264人 5,155人
6.21% 0.75% 74.43% 4.39% 85.77%
2014年3月末 6,261人 383人 15人 4,680人 286人 5,364人
6.12% 0.24% 74.75% 4.57% 85.67%
2013年3月末 6,476人 382人 15人 4,833人 299人 5,529人
5.90% 0.23% 74.63% 4.62% 85.38%
2012年3月末 6,758人 340人 14人 5,037人 322人 5,713人
5.03% 0.21% 74.53% 4.76% 84.54%
2011年3月末 7,003人 297人 14人 5,253人 340人 5,904人
4.24% 0.20% 75.01% 4.86% 84.31%
2010年3月末 7,257人 245人 13人 5,617人 354人 6,229人
3.38% 0.18% 77.40% 4.88% 85.83%
2009年3月末 7,476人 178人 11人 5,674人 381人 6,244人
2.38% 0.15% 75.90% 5.10% 83.52%
2008年3月末 7,810人 97人 16人 5,836人 426人 6,375人
1.24% 0.20% 74.72% 5.45% 81.63%
2007年3月末 8,119人 100人 19人 5,948人 425人 6,492人
1.23% 0.23% 73.26% 5.23% 79.96%
注意
  • 「保健手当」は、高額と一般の受給者数の合計。
  • 「4種手当」は、併給できない「医療特別手当」「特別手当」「健康管理手当」「保健手当」の4種類のこと。
  • 各手当の列、下行は被爆者手帳所持者数からみた受給率。
  • 原爆症認定集団訴訟、ノーモア・ヒバクシャ訴訟の成果による原爆症認定制度(医療特別手当の受給認定制度)の改定は2008年4月、2009年6月、2013年12月。