被爆者相談所および法人事務所
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ノーモア・ヒバクシャ東京2次訴訟 判決の意義と今後のたたかい

弁護団長 内藤雅義

内藤弁護士

 2016年6月29日に6人の原告被爆者に言い渡されたノーモア・ヒバクシャ東京訴訟第2陣判決は、2015年10月29日の第1次17人に続く全員勝訴でした。6人中5人は積極認定の範囲を超え、1人は要医療性がないとされた原告でした。
 原爆症認定については、原爆症認定集団訴訟を受けて「新しい審査の方針」が策定され、2009年8月には、日本被団協代表と麻生首相(当時)との間で「訴訟の場で争うことのないように、定期協議の場を通じて解決を図る」という確認がされました。
 ところが国は、一連の認定訴訟で裁判所が認めてきた残留放射線や内部被曝の影響を否定し「原爆放射線の影響は初期放射線を考えれば良い」「新しい審査の方針は、科学で認められる範囲を遙かに超えて被爆者のために制定した」と主張し続けています。とくに「平成25年新方針」策定以後は、被爆距離、入市時期が少しでもその積極認定の範囲を超えると一切認定しない対応をとっています。
 今回の東京地裁判決は「放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険については科学的に十分解明されていない」(原発事故子ども・被災者支援法1条)」とし、援護法の趣旨に立脚して「現時点で科学的な経験則では証明できないという理由のみによって、放射線起因性を直ちに否定することには、慎重であるべき」と判示しました。そして、積極認定の距離に多少およばない被爆者について、原則的に積極認定と同様に扱うことが要請されるとし、時間・距離に開きがある被爆者についても被爆当時の状況、その後の体調の変化等をふまえ総合的に判断すべきだとして全員勝訴の判決を言い渡したのです。国の主張の完全否定です。
 7月12日、国は原告団長の山本英典さん1人を控訴しました。5人の勝訴は確定しましたが、1人だけ分断して孤立させる方式は大阪でもおこなわれた卑劣なものです。第1次の控訴審と一体化させて勝利に全力を尽くしたいと思います。