被爆者相談所および法人事務所
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地域の原爆展に参観者1万人 68人が被爆証言、聴衆は6000人

東友会「被爆の実相普及委員会」が中間まとめ

 東友会の「被爆の実相普及委員会」(奥田豊治委員長)は2016年2月2日、2015年度第2回の委員会を開き、地区の会からの報告をもとに、被爆70年の2015年中に各地区の会が取り組んだ実相普及活動の中間取りまとめをしました。
 報告を寄せたのは19区市の会。日本被団協制作の原爆展パネルを使って地区の会が主体になって開催したところ、行政が企画した原爆展に協力したところ、他団体と一緒に「平和のための戦争展」を開き原爆パネルを展示したところなど、14区市の会が原爆展に取り組みました。参観者は約1万人でした。
 被爆証言をした会は13区市で、証言した被爆者は延べ約90人。小・中・高校など学校や各種集会、講演会を主催しての証言などで、聴衆は約6000人でした。
 そのほか江戸川区では、行政と一緒になって、区民まつりと地域まつりに参加した区民71万人に原爆展パネルを見てもらいました。
 2015年度の特徴として話題になったのは国立市の取り組みでした。市が「原爆体験伝承者育成」の事業を企画して受講生を公募。応募者から20人を選び、市内に住む広島・長崎の被爆者から被爆体験を聞き、一橋大学の教官から被爆の実相についての正確なデータと事実経過を学び、放送局アナウンサーから語り方についても教わるなど、1年3カ月16回の講座で伝承者を立派に育てあげた経験が、聴講生として講座に参加してきた委員から報告されました。
 行政の力を借りて実相普及にあたったことでは、豊島区が原爆展の共催者になり、東友会とともに「東京原爆展」を成功させたことが豊島の会の委員から報告されました。
 三鷹市からは、毎年8月15日に被爆体験を聞く場を設けてくれていること、2016年1月には広島の被爆アオギリの若木を公園に植樹し植樹祭が開かれた報告がありました。
 被爆体験のない胎内被爆者や被爆二世でも、被爆の実相は語ることができることができるという経験も出されました。被爆者でない人にもできる例として、世田谷では20歳代の写真家が、被爆者の現在の姿を撮影して被爆写真展を開いた経験、高校生が被爆者の話を聞いて絵にした経験などが出されました。東友会の相談員から聞いた被爆者の姿に感動したとの報告もあり、被爆者から聞いた体験をオウム返しに伝えることではなく、聞いたこと、学んだことを自分の感想として語ること、自分なりにこなして伝えることの大事さが確認されました。
 今後の実相普及活動として、国立市の経験をもっと詳しく学ぶこと、これまでの実相普及活動を映像にして持っている委員もいるので、それを見たり、地区の会からの報告を出してもらったり、地区の会が考えている原爆展・戦争展などに、どんな協力ができるかを考えたりなどしていくことにしました。

(編注)写真は地区の会の取り組みから紹介

ついたてに展示されたパネルを見る子どもや若い人たち
2015年の東京原爆展から
丸木位里・赤松俊子夫妻の「原爆の図」から2作(おそらく複製、縦1メートル、横5メートル以上)が展示されたついたての手前で、絵が見えるよう腰を下ろしての集合写真。奥には「原爆と人間」パネル展示も見える。
原爆展を作った仲間たちと(足立)
天井から吊られた可動式のついたてに展示されたパネルを見る人たち。ついたてには「原爆資料コーナー」の案内も。
公民館ごとに開催(八王子)
会議室で長机を長方形に並べ、席に着く被爆者など参加者。一人が立ち上がって発言している場面。
証言活動の勉強会も(杉並)
小学校の教室内、教壇に立ち資料を示しながらマイクで証言する被爆者。子どもたちは真剣なようすで聞いている。
小学校での証言(三鷹)
「第20回すみだ平和原爆写真展」の横書きの大きい看板が掲げられた会場。ついたてに展示されたパネルに見入る乳児を抱いた母親がいる。折り鶴を折る2人、アンケート(感想文)に記入する3人が写っている
寄せられた感想文が励みに(墨田)