東友会医療講演会 一人ひとりが原爆被害と病気の「生き証人」
2015年11月8日、「原爆症認定訴訟からみた被爆者の現状」のテーマで東友会の医療講演会が平和と労働センターで開かれ、悪天候をついて49人が参加しました。
講師は、集団訴訟からノーモア・ヒバクシャ訴訟勝訴の医学的基盤を担った東京医師団の聞間元医師でした。2015年10月29日に17人の原告全員を原爆症と認定した東京地裁の判決文には、聞間医師の法廷での証言がほとんどの原告の勝訴の理由に挙げられています。
聞間医師は、原爆後障害がいまだ未解明であること、いま生きている被爆者一人ひとりが現在進行形で病気の「生き証人」になると講演。被爆者が受けた放射線量を正確に算出することが不可能であるなかで、厚生労働省が定めた原爆症認定の審査方針が被爆の実態を無視していること、がんなど厚労省が指定している病気以外に、ポリープなどの良性腫瘍、高血圧症、2型糖尿病、慢性呼吸器疾患の一部なども原爆の影響が考えられることを放射線影響研究所(旧ABCC)の資料やグラフをスクリーンに映しながら説明しました。
聞間医師は、まとめとして「歴史の生き証人たる被爆者の方々にお願いしたいこと」として、「(1)医療と介護を不可分と考えよう。病気とたたかって生きてきたことに確信を持って生をまっとうしよう、(2)被爆者の声が何ものにも代えがたい核戦争を防止する『政治的抑止力』になっている。被爆体験と人生の証言を残そう」、とよびかけました。
質疑応答でも熱心な対話がつづき、参加者の半数以上25人が感想を寄せました。この感想文の多さは、東友会医療講演会ではなかったこと。
被爆者からの感想には、「聞間先生の裁判所での証言に感動と感謝の気持ちでいっぱいです」「長女が乳がんにかかりました。私の被爆の影響ではないかと不安です。再発しないようにと祈る思いです」などと書かれ、初めて東友会に足を運んだという被爆二世は「戦後70年平和であったことの意味、被爆者の存在の意味を深く考えることになった」との感想を寄せました。