被爆者相談所および法人事務所
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東友会医療講演会 最近わかってきた原爆放射線の影響

 東友会は2010年11月21日、聞間ききまはじめ医師を講師に迎えて、2010年度第1回医療講演会を東友会事務所のある平和と労働センターで開き、69人の被爆者と家族が参加しました。

原爆放射線の影響とは

 各地の原爆症集団訴訟の法廷で医師として証言し、勝訴を支えてきた聞間医師に東友会がお願いしたテーマは、「最近わかってきた原爆放射線の影響について」。聞間医師は、原爆放射線の影響は、原爆の炸裂から1分間以内に放出されたガンマ線と中性子線による「外部被曝」と、分裂しなかったウラン(広島)とプルトニウム(長崎)をはじめとする放射性降下物にふくまれたアルファ線、ベータ線による「内部被曝」の相乗作用によると講演。これまで国・厚生労働省から事実上無視されつづけ、集団訴訟によってようやく明らかにされてきた「内部被曝」による人体への影響について、ABCCと放射線影響研究所の各種調査の結果をかみくだいて説明しました。
 とくに入市被爆者が置き去りにされたきた経緯、被爆者に脳梗塞や心筋梗塞が多い理由などについても、医学的に説明しました。

被爆者の病気との関係は

 さらに放射線影響研究所による被爆者の死亡率と疾患発症の調査で各種のガンへの影響が認められるだけでなく、子宮筋腫や甲状腺疾患、腎臓・尿管結石などが多く発症していることを、資料を示しながら説明。2008年から政府が使っている原爆症認定の「新しい審査の方針」が直接被爆3.5キロ以内などの「しきい値」にこだわる問題点についても、するどく指摘しました。

被爆二世の問題にも言及

 参加者の多くが不安を抱えている被爆二世への影響については、胎内被爆者には小頭症の発症などの不安があったが、被爆二世についての調査では現在までは不安はないこと、しかし、被爆二世の高齢化が進行していく今後の影響については未知数であると講演しました。

わかりやすいと好評

 参加者からは「難しいテーマだと思っていたが、調査データにもとづいたわかりやすい説明をいただいて、よく理解できた」「ABCCは嫌いだったが、被爆者の立場で調査結果を生かすことが大切だと痛感した」「私たち被爆二世への原爆の影響について、はじめてくわしい話がきけた。今後は健康診断をこまめに受けていきたい」といった感想が寄せられました。

並べられた机に着席して講演を聞く参加者たち。会場正面の壇上に講師の聞間医師
専門的な話を被爆者の立場で分かりやすく説明され好評だった医療講演会
講師の聞間医師