在外被爆者検討会報告「居住地で差別は不合理」
具体策は大臣まかせ
海外に住む被爆者が、国から何の援護も受けていない事態をどうするかで検討をすすめていた、厚生労働大臣主宰の「在外被爆者に関する検討会」は、2001年12月10日、報告書を大臣に提出しました。
報告書は、委員の共通認識として、「人道上の見地から、その居住地によって援護の程度の差をみることは不合理であるから、何らかの施策を講ずべきである」としています。しかし、その具体的な措置については、意見はまとまりませんでした。このため、委員の意見を並列し、「適切かつ早急な施策を実現されるよう」に求めるものにとどまりました。
報告の順序も、被爆者援護法によって外国居住者に金銭給付するのは不適切とまず枠をはめ、法以外の方法として「基金による個人給付」「自治体との役割分担」「渡日治療支援」「支援事業を続けている民間団体への委託」などの提案を並列にならべ、大臣まかせにしています。
海外不適用に固執 日本被団協「平等に法適用を」
新聞報道によると、厚生労働省は報告を受けて、2002年度から国による来日治療の費用負担などを柱に、在外被爆者援護に乗り出すことを決め、2002年度予算で、原爆医療費など関連予算枠から約5億円を割り当てるなどの調整をしています。援護法については在外被爆者には適用しない方針を省令に明記することも検討しているといいます。
日本被団協では、「在外被爆者への援護がなされないのは、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律が国家補償の法律にならなかったからである。国は大阪地裁判決への控訴を早急に取り下げ、国籍条項も居住条項もない法の趣旨に添って、在外被爆者にも平等に法を適用すべきだ」と主張しています。