介護保険 福祉系サービスにも国と都が助成
広島・長崎なみの制度スタート 「老後の安心」大きく前進 利用料負担が大幅軽減
2001年4月から、被爆者援護法38・39条の福祉事業が、東京でも広島・長崎なみに実施されます。これで、被爆者が特別養護老人ホーム(介護保険福祉系サービスの1つ)や、養護老人ホームを利用したときの利用料が、大幅に軽くなります。
この事業は、都道府県が実施した場合に、その費用の半額を国が助成するという制度で、広島・長崎両市と両県では、1995年の被爆者援護法の制定前から実施されてきました。
3月20日の板橋みのり会の相談会でこの説明を聞いた内野愛子さん(70歳)は、「私は、養護老人ホームに毎月5万6100円払ってきましたが、4月から無料になるのですね」と大喜び。これを聞いた35人の参加者から拍手がわきました。老人福祉法で規定される養護老人ホームの費用が、今後、東京の被爆者も、自己負担がなくなるからです。
被爆者が介護保険を利用した場合、医療系施設の入所費用が、非被爆者の2割未満に軽減され、ショートステイをしたり、デイケアを受けた場合の額以下にされていましたが、これまで福祉系の特別養護老人ホームの軽減はありませんでした。これが4月から、医療系の施設と同様に、入所した場合介護保険の利用料と食事代が無料になり、ショートステイや通所の利用料も無料になります。
2千人調査とともに要請 4年がかりの運動で実る
東友会は、被爆者援護法成立直後から、38・39条の全国化を国と東京都に要請し続けてきました。1997年1月から3月にかけて、7182人の被爆者に調査票を郵送。回答した2203人(30.7%)の調査票を、厚生省の調査委員も担当していた故・伊東壯会長が分析し、11月に調査報告書を完成させました。この調査と報告書作成のための通信費、印刷費は、300万円かかりました。
東友会は、調査報告書を都知事、衛生局、全都議会議員や東京選出の国会議員に配布して、都議会に陳情を提出。国にも、日本被団協と全国の被爆者団体とともに、毎年要請を繰り返しました。
この運動で、援護法制定後も広島・長崎両市と両県に限ってきた国の要綱を改めさせることができ、平成13年度政府予算に6億7400万円が計上され、東京都の予算案にも6800万円が盛り込まれました。
被爆者に朗報 飯田事務局長の話
被爆者援護法38・39条の福祉事業の実施は、私たち被爆者にとって、たいへんな朗報です。今後は、被爆者が介護保険の施設や養護老人ホームに入所しても、健康管理手当の範囲で費用が払えることになり、「衣食住」の「衣」以外は、大丈夫ということになりました。これで、身寄りがない、生活が苦しいという被爆者の方がたが安心して老後を過ごせることになって、ほんとうに良かったと思います。東京都は、ショートステイとデイサービスは、対象者が多いと見込んでいますが、いずれも申請をしない限り、助成は受けられません。
東友会はくわしい説明書を用意しています。これらの施設を利用している人は、ぜひ東友会にご連絡ください。