東京都衛生局と東友会が懇談会 新しい視点で行政を
東京都衛生局と東友会との2000年度懇談会が、2001年1月22日午後、都庁内会議室でおこなわれました。
都からは長岡常雄医療福祉部長、中西好子特殊疾病対策課長、鈴木晴夫被爆者援護係長など5人、東友会からは29地区から代表69人が参加しました。
「松谷判決」「健康管理手当更新」で要望
「福祉事業」の新規実施に感謝も
長岡部長は、都の財政難で既存の事業が次つぎカットされるなかで、平成13年度予算に、被爆者の福祉事業について6,800万円の新規事業が付いたことを報告。「被爆者のみなさまのつよい熱意が実ったもの」と高く評価しました。
東友会からは、葛飾区の金子宏正さんが、長崎での被爆から56年間の心と身体に受けた傷を証言。淡々とした話しぶりのなかに深い思いが込められた証言は参加者の感動をよびました。
つづいて、田川時彦会長代行は、2000年1年の出来事から行政として生かしてほしい3つの問題を提起しました。
1つは、松谷裁判の最高裁判決と大阪高裁での京都訴訟の判決です。これまで国が被爆放射線量の基準としてきたDS86がしりぞけられ、3キロ、4キロの遠距離被爆でも脱毛などの急性症状があったことが判決で確定したこと。2つは、長崎県・市が挙げて要請をつよめている被爆地拡大の要請のなかで、心の傷、精神面での障害が注目されてきたこと。3つは、広島に建設中の原爆死没者追悼平和祈念館に、死没者の遺影を収納することが厚生労働省から提起されていることでした。田川会長代行は、いずれもこれまでにない事柄なので、東京都もよく検討してほしいと要請しました。
「介護手当 複雑申請やめて」 29市から69人が参加
具体的な要請の最初は、東友会への東京都の委託事業費の問題を飯田マリ子事務局長が訴えました。飯田事務局長は、相次ぐ削減で、都の支出する費用で東京都の委託刊行物の発行が困難になっていることと、健康管理手当の更新が、診断書の書式が変わってから、たいへんに厳しくなっている点を相談事例を上げて指摘し、改善を求めました。
村田未知子相談員は、介護保険の実施以後、手続きが複雑になっている被爆者の一般(他人)介護手当の申請に毎月つける領収証が、1月からたいへん複雑にされた点を指摘。「これをチェックして出せるくらいなら、介護なんか必要ないのでは」と話す被爆者の声を紹介しました。
戸瀬英男事務局次長は、年一度の提出を求められている被爆二世の医療費助成の診断書を、被爆者の健康管理手当と同じ期間に延長してほしいと要請。 東大和・大和会の河野次男会長は、主治医が「3年」と書いた健康管理手当の支給期間を、診察をしていない都の判断で「1年」に短縮された会員の事例を診断書のコピーを掲げながら報告し改善を求めました。
中西課長は、個別の事例には答えられないと話した後、「健康管理手当診断書の療養を要する期間に具体的な年数が記入されていないと判断に困る」と説明しました。
これに対して東友会側からは、「『一生涯』と書いてあったらどうか」「国が決めている病名の支給期限『5年』『3年』で認めてほしい」「都のやり方は、あまりにも実務的すぎる」という声があがりました。