被爆者相談所および法人事務所
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東友会の相談事業 2019年度の相談実績
ひとりでは制度を活用できない被爆者の増加
いまだ支援施策を知らない被爆二世の現状

 東友会は2020年4月中旬、2019年度(2020年3月末)の被爆者相談事業の実績をまとめました。その統計と日常の電話相談などの実情をふまえ、被爆者相談事業から見えてくる現状を紹介します。

 東友会被爆者相談所は、東友会結成以来60年以上にわたって被爆者の相談に応じてきています。被爆75年目を迎え、東京在住の被爆者の平均年齢も80歳を超え、様ざまな相談が増えています。

相談件数の推移

 東友会への相談は2000年に1万3000件を超し、2007年からは毎年1万5000件以上の相談が続いています。
 東京在住の被爆者数は10年前の2010年度は約7000人でしたが、2019年は5000人を切りました。被爆者数は減少していますが、相談件数はここ数年間、1万5000件を超えるレベルが続いています。

【補足説明】2020年4月中旬の時点では、2019年度末(2020年3月末)の被爆者・被爆二世の数はまだ公表されていませんので、グラフもありません。一方、2019年度(2019年4月から2020年3月まで)の相談件数はまとまりましたので、過去10年間の推移に反映させました。
以下は、読み上げブラウザ用にグラフを表になおしたものです。
東友会原爆被爆者相談所相談件数と、東京都に登録されている被爆者・被爆二世の人数の10年間の推移
年度 被爆者数 被爆二世数 相談件数 相談件数のうち二世に関する相談の件数
2010年度 7003 6082 18730 2939
2011年度 6758 6495 20061 2591
2012年度 6476 6674 17699 3149
2013年度 6261 6883 17004 2753
2014年度 6010 7217 17574 2664
2015年度 5758 7458 16774 2912
2016年度 5487 7673 15070 2870
2017年度 5203 7936 15820 3278
2018年度 4921 8130 15344 3472
2019年度 未発表 未発表 15593 3358

近年の相談の傾向

 近年の特徴として、被爆者自身は高齢となって自分で相談することが難しくなってきており、代わって家族やケアマネジャーなど介護支援に関わっている援助者の方からの相談が大幅に増えています。
 「親が被爆者手帳を持っていたことを知らなかった」という家族、「被爆者の制度を利用するのは初めて」というケアマネジャーも少なくありません。被爆者であれば、被爆者手帳を見せることで無料になる特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設(老健)のサービス利用料を何年間も支払っていた、自宅で介護していたのに「介護手当」の制度を知らなかった、という話を聞くこともあります。
 亡くなった後の死亡届・葬祭料申請書を見ると、原爆症認定の積極認定の対象となる病名・被爆状況であったにも関わらず、原爆症認定の申請をしていなかった事例もあります。

知らせる活動の大切さ

 「被爆者の制度」を、被爆者以外の人たちに知らせていくことが、ますます重要になっています。
 東友会では、被爆者・家族・援助してくださる人たちに、「被爆者の制度」を分かりやすく知ってもらい、正しく活用していただくための情報を、月刊紙「東友」の紙面をはじめ、専用のパンフレットを作るなどして、機会あるごとに普及しています。電話相談を受けた場合も、そのような資料を郵送して、少しでも具体的に理解してもらえるように努めています。

医療・介護の制度改定

 医療や介護の制度が変更されると「被爆者の制度」の活用にも影響します。例えば、介護保険制度の改定により、「被爆者の制度」が使えなくなった介護サービスが増えています。
 こうした複雑な変化があるため、現状の医療・介護の制度に「被爆者の制度」をどのように組み合わせて利用していけばいいのか、一度の説明では十分に理解してもらえないこともあります。
 被爆者のなかには、「家族や周囲に迷惑をかけたくない」とひとりでがんばる人もいますが、高齢の被爆者が複雑な手続き書類を自分だけで仕上げることは、現実問題として難しくなっています。

被爆二世の相談

 被爆二世の平均年齢は56.7歳(2019年3月末現在)、最高齢は2020年に74歳になります。これまでも親の被爆者から二世の制度の問い合わせはありましたが、具体的な病気の発症などにより、「今までは人ごとだと思っていたが…」という声とともに、被爆二世本人から制度内容や申請方法についての相談が増えています。グラフでは相談件数に大幅な増加はないように見えますが、数値だけではわからない内容の変化があります。
 「被爆者の制度」は、国の法律により全国一律で実施され、ある程度の周知はありますが、被爆二世を対象にした法律はなく、行政施策の一環として全国的には無料の健康診断があるだけです。しかも都道府県によって差があるため、「被爆者の制度」以上に被爆二世に関する施策内容は知られていないのが現状です。
 東京都は都条例にもとづき被爆二世に対する独自の支援制度を実施しており、そのなかの「医療費助成」制度に関する相談が増えています。病気のため仕事をやめざるを得なくなり、経済的な制約から十分な治療を受けられなくなっていた人もいて、「「医療費助成」制度で安心して治療が受けられるようになった」という声が寄せられています。

 東友会の相談所には電話による相談が多く、集中するとつながり難いこともあります。しかし相談員一同、被爆者とその家族・被爆二世、医療や介護の関係者から、安心して問い合わせをいただける相談所であり続けたいと、全力で取り組んでいます。

2019年度の相談方法の傾向
相談方法 電話
(電子メール、FAX含む)
郵便による文書 来所相談など その他
相談件数 8549件 5945件 715件 384件
全相談件数に対する割合 54.83% 38.13% 4.59% 2.46%