被爆者相談所および法人事務所
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東友会原爆被爆者相談所 相談件数の推移と内容の特徴

被爆者数は減るも相談件数は横ばい 手当の更新や月々の申請が負担に

 被爆70年の2015年、東京都内に住む被爆者健康手帳所持者は6010人となり、最高時の58%になりました。平均年齢も79歳を超え、高齢化が進んでいます。
 被爆者数が減っても、東友会原爆被爆者相談所が対応する相談件数は年間1万7000件台が続いています。相談内容の内訳では、被爆者の手当の申請、更新など「被爆者援護法関係」と、高齢化を反映する「患者指導」は近年5年間で最高となりました。
 被爆二世からは医療費助成の相談が増え、東友会のウェブサイトを見て都外の被爆二世から相談が寄せられるケースも増えています。

東友会原爆被爆者相談所の相談実績5年間の推移
年度 相談件数合計 相談内容別
被爆者援護法関係 患者健康指導 介護保険関係 その他 被爆二世関係
2010 18,730 10,058 1,229 3,134 1,370 2,939
2011 20,061 10,794 1,370 3,556 1,750 2,591
2012 17,699 9,023 1,100 3,045 1,382 3,149
2013 17,004 10,080 1,222 1,873 1,076 2,753
2014 17,574 11,017 1,468 1,399 1,026 2,664

解説 負担の多い介護手当と事例

 東友会に寄せられる相談は多岐に渡りますが、その中でもとくに深刻なものは、更新が必要な「介護手当」と「医療特別手当」の関連です。
 とりわけ「一般(他人)介護手当」は、申請者(被爆者と家族)にも相談員にもたいへん負担がかかる申請の仕組みになっています。「一般介護手当」は、毎年介護が必要な状態が審査され、毎月申請を出して、介護人に払った費用が限度額まで振り込まれるという制度です。
 介護費用の領収証の記入方法などが複雑で、介護を受けている被爆者本人はもちろん、家族やケアマネージャーなどに負担を強いるケースが目立っています。

事例

 5年前から「一般介護手当」を受けている武蔵野市のHさんは、別居の家族とホームヘルパーの介護を受けています。申請のための領収証は、ホームヘルパーの分は毎月の領収書と「サービス利用票」を出します。家族の分は、毎日、30種類の介護内容のナンバーと介護した時間を記入した領収証を出します。
 ヘルパーと家族の介護時間が重なると出し直し、介護時間数の計算が違うと訂正をしなければなりません。そのために、毎回のように書類を返送して書き直してもらうという状況が現在も続いています。東友会の相談カルテには、「2カ月分届くが計算違い。電話して返送」「計算ミスで返却したがその後2カ月連絡がないので電話」「3カ月分届くが、自費分の日付、時間記入なし。サービス利用票の添付なし」という記録が、延々と続いています。
 いま、毎月の申請書類を東友会に送ってくる被爆者は80人以上、このように毎月書類を送り返す状況の被爆者は10人ほどになります。
 さらに「要介護2」のHさんが介護手当を受けるためには毎年、診断書をつけて申請しなければなりません。Hさんの2015年3月の診断書には、歩行困難でうつ病、排便が困難と書かれています。Hさんの診断書には5年間、同じような内容が書かれていますが、更新手続きには毎年診断書をつけて出すことが必要とされています。東友会は、このような状況を改善してほしいと、7月13日の東京都懇談会でも要請しています。