被爆者相談所および法人事務所
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東京都と東友会が懇談会 被爆二世も実情訴え 願いに真摯な回答

 2013年7月8日、恒例の東京都福祉保健局と東友会の懇談会が都庁で開かれ、都から7人、東友会から被爆者と被爆二世など48人が参加しました。

長年の信頼感をもとに

 懇談会の最初に、髙橋郁美保健政策部長から「都の事業に対する東友会の多大な協力にあつく感謝している。被爆二世の会を立ち上げ、次世代への継承をすすめていることに敬意を表する」「2013年の都庁での原爆展には福祉保健局長も参観する予定」と、嬉しいあいさつがありました。
 つづいて、大島靖被爆者援護係長から、10月からの諸手当の減額についての説明がありました。東友会からは、大岩孝平代表理事が、東京都の被爆者に対するていねいな対応に感謝するとともに、一般社団法人になった東友会が非被爆者を理事・会員に迎え入れ、相談事業を維持・充実させる態勢を整えつつあることにふれてあいさつしました。

被爆した姉妹の記憶

 懇談会で毎回おこなっている被爆証言は、文京区の村山季美枝さんがおこないました。村山さんは5歳のとき広島の2.3キロメートルで被爆。3歳だった妹が頭に刺さったガラス片を取り除くために麻酔なしで手術を受けたときの記憶や、通学の途中で被爆したものの無傷だった姉が、肝臓の自己免疫疾患と27年間たたかい67歳で亡くなったことなどを証言。今の世界を見ていると「証言することがむなしいと感じる」と結びました。

東友会からの要望

 つづいて、東友会の山田玲子執行理事が、被爆者の健康診断について、(1)胃ガン検診を内視鏡で受けられるようにしてほしい、(2)乳ガン、子宮ガン検診を受けやすくしてほしい、(3)甲状腺機能の検査を追加してほしいと要請。村田未知子執行理事(相談員)が、高齢被爆者の姿を紹介しながら、医療特別手当などの更新手続きの簡略化を国に要望してほしい、山本英典執行理事が、被爆体験記や証言の収集、保存と活用を東京都として企画し実行を、濱住治郎執行理事が東友会への委託事業費が現在の水準を保てるよう支給してほしいと要請。

被爆二世の会からも

 4月に結成された「東京被爆二世の会」の頼金久美惠運営委員が、父母がガンで亡くなり、自分も二つのガンと一つの転移ガンとたたかっているが、都の医療費助成制度にたいへんに感謝していると発言。更新の通知を2カ月前より少し早く送ってほしい、医療費助成の診断書を医師に頼みやすいよう説明をつくってほしいと発言しました。

東京都が前向きの回答

 これらの要望をうけた阿部課長は、国のガン検診のガイドラインを説明し、ガン検診だけでなく一般健診もふくめてトータルに健康診断を受けられる医療機関を増やしたい、甲状腺の検査については都も国に要望していると回答。平和事業については、東京都に一本化された窓口がない、委託事業費については、被爆者数が減っているが、現状を維持するために努力すると回答しました。
 被爆二世からの要望については、更新の書類を早めるにはシステムの改善が必要なので課題にしたい、医師への説明は制度を理解していただけるように考えたい、と回答しました。

被爆者の立場で行政を

 懇談会の最後に、飯田マリ子・協議会名誉会長が、長年の東京都の尽力に感謝をのべ、髙橋部長からは「みなさんのナマの声が響いてくる。被爆証言をしても『むなしい』という発言を重く感じる。都としてできる限りのことをすすめながら、国にもきっちりと言うスタンスでいたい」とまとめのあいさつがありました。

広い部屋に並べられた机に着席する参加者。会場前方で一人立って話をしているのを聞いている。
都内各地区から参加した被爆者と誠実に対応する都職員のみなさん