被爆者相談所および法人事務所
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被爆者援護法改正めざす学習会(第1回) 被爆者運動の真髄学ぶ

原爆被害は絶対に「受忍」できない 被爆者運動の真髄、「基本要求」の本質

 日本被団協は2010年3月に現行「被爆者援護法」の改正要求についての代表理事会案を策定しました。さらに6月の総会で全国的な討議をよびかけ、10月の全国都道府県代表者会議で改正要求の内容を確認することにしています。
 このよびかけを受けて東友会は、(1)1984年から国家補償の被爆者援護法制定運動の柱として日本被団協が掲げ続けてきた「原爆被害者の基本要求」の内容、(2)被爆者援護法制定運動の経過とその成果、(3)現行法改正の3つのテーマで、7月から9月までの3カ月、毎月16日に連続講座を開くことにしました。

 第1回講座となった7月16日は会場の平和と労働センターに被爆者と家族、東京空襲被害者、研究者、支援者、報道関係者など58人が参加。「基本要求」策定当時、その中心となって執筆を担当した吉田一人さん(当時日本被団協事務局次長)の講演に熱心に聞き入りました。
 吉田さんは、被爆者の自覚を持ったのは、東友会結成運動の取材をしたことからだったと52年前の活動から講演をはじめ、1960年代後半から70年代に被爆者援護法制定運動が大きく広がったとき、厚生大臣の諮問機関として設置された「原爆被爆者対策基本問題懇談会(基本懇)」が原爆被爆者対策の基本理念として、原爆被害は「一般の戦災による被害と比べ、際立った特殊性を持った被害」だったと規定した上で、一般の被害は「国をあげての戦争による『一般の犠牲』として、すべての国民がひとしく受忍しなければならない」と答申したこと、この「受忍論」が、原爆被害者と東京空襲など一般空襲被害者をはじめとした一般国民の戦争被害への国家補償を拒んできたことを紹介。
 これを打ち破る運動として模擬法廷運動、各種の要求調査をかさねて日本被団協が2年以上の歳月をかけて検討や全国討議をつづけた「基本要求」策定の経過とその内容について講演しました。
 「基本要求」が掲げた「ふたたび被爆者をつくるな」という被爆者の願いを実現するための二大要求「核兵器廃絶」と「原爆被害への国家補償」は、戦争を開始し国民に原爆被害を受けさせた国が、国家補償をおこなうことによって、未来にわたって国民に核戦争被害を「受忍」させない制度、核兵器廃絶への道を開くこと、二大要求は紙の裏表のように決して剥がすことのできないものであること、援護法の対象となる「原爆被害者」とは、法律で定めた被爆者手帳所持者だけでなく原爆死没者、遺族、子ども、孫をふくむことなどについても、ていねいに説明しました。

 質疑応答では、軍人軍属と一般国民への国の償いが差別された経過、「基本要求」の具体的な要求内容、「核戦争を拒否する権利」の説明などが求められ、吉田さんと次回講座の講師を担当する山本英典副会長が説明しました。

並べられた机に着席し講演を聞く参列者たち。
会場を埋め尽くした参加者
講師の吉田さん