被爆者の相談活動は今… 年間相談件数が過去最高に
東友会の相談事業は二つの重要な柱で支えられています。第1の柱は、東友会相談所が対応している相談事業です。これは専門の相談員が対応しています。もう一つの柱は、地区被爆者の会、地区相談員の活動です。相談事業の第1の柱、東友会相談所が2006年度に受けた相談件数が、これまでで最高の1万4869件になりました。
年度 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 |
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相談件数 | 7143 | 8243 | 9038 | 13593 | 13518 | 13735 | 14688 | 13901 | 11291 | 14869 |
原爆症の相談増える
2006年度大幅に増えたのは原爆症認定に関する相談でした。2006年から東友会が地区の会とともにすすめ、107人が参加した第2次集団申請運動と、各地裁でつづいた集団訴訟の判決、それを報道したマスコミの影響でした。
東友会は原爆症認定と被爆者手帳申請は担当相談員を決めて対応してきましたが、集団申請運動の中で、地区相談員が申請のほとんどのお世話をするという事例がみられるようになりました。
高齢化で介護の相談
2000年度の介護保険制度の実施以降、急激に増えているのが介護手当と介護保険についての相談。毎月申請が必要な他人介護手当でみると、2003年3月の月67件が2007年3月は102件と5年で1.5倍に増えています。
介護に関する相談は、被爆者本人ではなく、家族や介護支援事業所などからの相談や問い合わせが年々増えているのも特徴です。
独り暮らしの被爆者の介護についての相談は、家族の事情が複雑にからむ事例やケアマネージャーなどが手続の代行をするという事例も増えてきました。
二世本人からが増
最高齢者が61歳となった被爆二世の相談も、健康診断や医療費助成を受けたいという相談が、Eメールや電話でつづいています。
相談に対して的確なアドバイスをしていくために、東友会は今、地区の会との連携とともに、医療・福祉の専門家とのネットワークをづくりをすすめています。
地区の被爆者が支え合える相談活動へ
地域での相談は、都内36地区で活躍している142人の地区相談員の力で支えられています。役員が病院や施設に付き添ってお世話をしている地区、東友会の依頼で被爆者の自宅にかけつける地区相談員もいます。
2006年度、東友会相談員が参加しただけで地区の会が開いた相談会は26カ所。参加した被爆者や家族は686人にのぼりました。
2007年5月19日、品川で東友会相談員を招いた相談会が開かれました。参加者は25人。「緊急入院で56万円も部屋代を払ったけど…」「手帳を使ってほんとうに接骨院はタダになるの」「手帳を上手に使えば、受けたい検査がタダになるよ」など、質問やアドバイスが次々。東友会相談員と地区相談員だけでなく参加者みんなが発言して、みんなで制度を理解していきます。帰り道、「きょうは、よかったね。来年も来ましょうね」と、女性たちの会話が弾んでいました。