被爆者相談所および法人事務所
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都議会予算要望ヒアリング(聴き取り) コロナ禍でも生の声を届けて

 東友会は、改選された都議会に対する「東友会の委託事業費に関する請願署名」について、今回も紹介議員を依頼するなど、都議会への働きかけをおこなっています。
 毎年恒例の東京都次年度予算に対するヒアリングへの参加や文書の提出は、2021年も5会派に。今回も、被爆者の高齢化に伴い重要性が高まっている東友会の相談事業への財政的支援、東京都被爆者援護条例に基づく被爆者と被爆二世の健康診断の充実、核兵器廃絶を願う被爆の実相普及のために窓口一本化をはじめ予算をつけるよう要請しました。(要望の要旨はページ下方に掲載)

 都議会立憲民主党のヒアリングは9月2日午前中に、東友会から石飛公也・湊武執行理事など執行理事5人全員と大岩孝平監事、山田玲子協議会副会長など9人が参加しました。立憲民主党からは中村ひろし都議など所属議員全員が参加して東友会の要望を聞き、核戦争の記録ともなる被爆の実相普及の重要性に注目した質問が続きました。さらに、構成員が高齢化する東友会や地区の会の活動への質問がありました。

並べられた机に間隔を置いて座り、向かい合う議員らと東友会の参加者たち。
都議会立憲民主党への要請

 9月2日午後は都民ファースト議員団を9人の東友会代表が訪問。都民ファーストも所属する31人の議員全員が参加して要望を聞きました。ここでも被爆の実相普及の重要性が理解され、「おりづるの子」(東京被爆二世の会)の案内しおりを出して、被爆二世・三世の動きについて聞きたいとの質問があり、東友会から、ぜひ「おりづるの子」との懇談を、と依頼。自身で地元の戦争遺構の保全に取り組んでいる議員からの話もありました。

並べられた机に間隔を置いて座り、向かい合う議員らと東友会の参加者たち。
都民ファーストへの要請

 9月3日の都議会公明党への要請は、公明党から東村邦浩幹事長、谷村孝彦幹事長代行など5人が参加。広島生まれの谷村議員は毎年ヒアリングに参加しています。コロナ対策の人数制限のため東友会からは中西俊雄、濱住治郎執行理事と大岩監事など6人が参加しました。公明党からも実相普及問題での質問があり、「平和事業は縦割りなので予算をつけやすいが、一本化すると細かい予算がつかなくなる」ので難しいとの話がありました。

机をはさんでソファに座り、向かい合う議員らと東友会の参加者たち。
都議会公明党への要請

 9月3日は共産党都議団にも要請。東友会から6人が、共産党からは、被爆二世の和泉なおみ幹事長、曽根はじめ都議など4人が参加しました。最初に「核兵器禁止条約批准」問題で和泉議員が小池百合子知事に質問した3月都議会の資料が配られ、知事が東京都として政府に働きかけることについて回答を避けたことを知りました。予算要望については協力を約束した後、黒い雨訴訟の判決にふれた話がありました。

長円形に並べられた机に間隔を置いて座る議員らと東友会の参加者たち。
共産党都議団への要請

 都議会自民党は、近年、予算要望については文書での要請のみを受けると通知されています。2021年も事務局が都議会自民党政調会を訪ね、要望書を手渡しました。さらに9日、家島昌志代表理事と地元の綿平敬三・被爆者練馬の会会長などが柴﨑幹男総務会長の地元事務所を訪ね、東友会の委託事業費の請願への紹介を依頼し、予算要望の内容を説明しました。

机を囲んで座る、議員と東友会の参加者たち。
自民党へは文書で要請

 この行動で、東友会は委託事業費に関する請願に5会派の紹介を集め、9月16日に都議会に提出しました。

都議会各会派への東友会からの要望(要旨)

 都議会各会派によるヒアリングまたは要請書で、東友会から要望した主な内容は次のとおりです。

1.東友会への被爆者健康指導事業委託費について

 被爆者数は減り続けていますが、高齢被爆者の相談には多くの手間がかかるほか、家族が寄せる相談が増えています。最高年齢の者が後期高齢者となった被爆二世からの相談も増加しています。
 つきましては、高齢被爆者を対象にした相談事業の水準を保つために、東京都の「被爆者健康指導事業」委託事業費が現状どおり支給されるようお願いいたします。

2.被爆者健康診断について

 厚生労働省が「原爆症」と認定する疾病に指定している疾病がありますが、現状では、これらのすべての疾患に対する検査項目が被爆者健康診断に含まれていません。  被爆者健康診断の項目に含まれていない疾患の検査を被爆者健康診断に追加するよう以下の点についてお願いいたします。

  1. 東京都として、被爆者健康診断に、甲状腺機能に関する検査を追加していただきたいこと。
  2. 東京都として、肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・腎臓・子宮・卵巣・前立腺等の腹部の実質臓器を被曝することなく評価できる腹部超音波検査を、被爆者健康診断に追加していただきたいこと。

 あわせて、国に対して甲状腺機能に関する検査と腹部超音波検査を追加するよう、東京都として要望していただけますようお願いいたします。

3.「被爆者の子(被爆二世)」の施策について

 中年から老年期の者が多くなった被爆二世に、がん・白血病などの悪性新生物をはじめ、循環器機能障害や脳血管障害、運動器機能障害の治療を受けている者が増えています。以下の点について予算要望していただけますようお願いいたします。

  1. 被爆者のがん検診に追加されている胃カメラによる検診を被爆二世にも早急に追加していただたいこと。
  2. 被爆二世の健康診断、がん検診は、被爆者健康診断と同様の実施時期、実施内容としていただきたいこと。

 あわせて、国に対して多発性骨髄腫以外の被爆二世のがん検診の実施と、東京都が実施している医療費助成を国がおこなうよう、東京都として要望していただけますようお願いいたします。

4.東京在住被爆者の実相普及について

 終戦から76年の年月が経過し、各地で戦争被害の風化が懸念されています。
 「被爆者援護条例」を持つ唯一の都道府県である東京都が、核戦争被害の実相を拡げる役割を果たしてくださるようお願いいたします。

  1. 東京都に平和事業の窓口を新設し、これまで各部局がすすめてきた平和事業を一本化するための予算を確保していただきたいこと。
  2. 東友会をはじめ都内の被爆者の会や都民である被爆者が発行した被爆体験記や被爆資料を東京都として収集し、都庁、都立図書館、小中高校、大学で有効に活用されるための予算を確保していただきたいこと。
  3. 東京都として、被爆証言や東京空襲、戦争体験のDVDの制作、保存、貸出しについての予算を確保していただきたいこと。