被爆者相談所および法人事務所
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第2種特例受診者(長崎被爆体験者) 県外在住者にも医療費助成

 「第2種健康診断受診者証」を持つ人(第2種特例受診者あるいは長崎被爆体験者と呼ばれる)に対して、2023年4月から2つの施策が追加されました。

第2種特例受診者とは

 原爆投下当時、国が定めた長崎の爆心地から半径12キロメートル以内の地域に住んでいた人が申請できるもので、長崎だけが対象です。
 現状では被爆者健康手帳への切り替えはできません。当時、実母がこの地域にいて、原爆投下後から1946(昭和21)年6月3日までに生まれた人(胎児だった人)も対象になります。
 国は、この条件にあてはまる人に放射線の影響があったことをいっさい認めておらず、トラウマなど精神的な被害だけを認めています。
 制度も限られており、(1)年1回の一般健康診断を無料で受けられること、(2)「精神的要因による精神疾患と合併する身体的症状がある疾病」に対する医療費助成(ただし長崎県内在住者のみ。胎児も除く)という2つでした。

 以下の説明は、すべて原爆投下時に該当地域にいた人が対象です。胎児だった人は除外されていることに注意してください。

新たに追加されたもの

がんの医療費助成

 これまでいっさい認められていなかった「がん」の医療費助成が追加され、次の7つに限って認められました。

  1. 胃がん
  2. 大腸がん
  3. 肝がん
  4. 胆のうがん
  5. 膵がん
  6. 乳がん
  7. 子宮体がん

条件

 すでに「第2種健康診断受診者証」を持っていて、この医療費助成を希望する人は、「被爆体験者精神医療受給者証」の交付を受ける必要があります。東京在住者も、この申請は長崎市に出します。
 東京在住者で、まだ「第2種健康診断受診者証」を交付されていない人は、まず東京都に申請して「第2種健康診断受診者証」を受け、そのあと長崎市に申請して「被爆体験者精神医療受給者証」の交付を受けることになります。

長崎県外在住者への医療費助成

 今回、長崎県外に住む第2種特例受診者も、該当する病気の医療費助成が受けられるようになりました。
 これまで第2種特例受診者に対する医療費助成は、長崎県内在住者に限られており、長崎県外に住む第2種特例受診者は利用できませんでした。また長崎県内に住んで医療費助成を受けていた人が、県外に転居すると医療費助成が打ち切られていました。

条件

 この医療費助成は、「被爆者の制度」と同じように、医療保険の自己負担分を国が負担するものですが、被爆者のように医療機関の窓口で自己負担分を払わなくてすむものではありません。助成されるのも認められた病気の医療費に限られます。
 助成方法は、医療機関の窓口で医療保険の自己負担分をいったん支払ったあと、後日その領収書ほかを付けて払い戻し申請をすることで、対象疾患の費用が戻ってくる「償還払い」というものです。
 この手続きは、東京在住の第2種特例受診者も長崎市に出します。

 長崎市では、2023年4月からの実施にあたって、他の都道府県からの申請にも対応できるよう、鋭意努力しています。
 東友会も、東京都や長崎市と連絡をとりあっています。申請には必要な書類や注意点があります。詳しくは東友会にお問い合わせください。

留意点

 今回のがんへの医療費助成は、残念ながら国が第2種特例受診者にも放射線の影響を認めたものではありません。「精神疾患にともなって発症する合併症と発がん性の関連を研究する事業」の一環として位置づけられているもので、研究協力の費用として医療費を支払うという性格付けになっています。